痛いときは冷やす?暖める?|日経新聞に掲載

本日付の日本経済新聞土曜版に取材記事が掲載されました


テーマは「患部を冷やすか温めるか迷ったら…」打撲・捻挫の初期治療はRest(安静)・Ice(アイシング・冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の頭文字をとり,RICEと呼ばれていますが,首の寝違いや筋違い,ぎっくり腰など急性期の痛みに対してもアイシングが有用です.冷やしたほうがいいのか,暖めてもいいのか,一言でくくれる問題ではありませんが,迷ったらまず冷やしてみてください.

アキレス腱が切れる瞬間

ロッテ3─2オリックス(26日・QVCマリン)

オリックス39歳のベテラン北川選手がこの日の試合中に左アキレス腱断裂で途中交代.

一塁ベースを蹴った瞬間,「どーんっとなって、背骨に電流が走った。その瞬間『切れたな』と思った」

アキレス腱が切れる瞬間は,踵を蹴られた!ボールが当たった!感じといいます.

ストレッチング不足が原因と考えられますが,ストレッチを行っていたにもかかわらず断裂する場合もあり,一般的にアキレス腱断裂の基盤には腱の肥厚(変性)が存在すると考えられています.

アキレス腱断裂の患者さんは,断裂する前からアキレス腱に張りを感じていた方も多く,北側選手の場合も自主トレ中に発症したアキレス腱炎により,アキレス腱の弾力が減少していたと考えられます.

アキレス腱断裂は保存療法も行われますが,アスリートの場合は,筋力低下や再断裂の少ない手術療法が選択されます.しかし,手術しても保存療法に比べて4-6週間早くランニングが可能となりますが,スポーツ復帰にはどんなに早くても半年以上かかります.

頸椎歯突起形成不全|首を曲げると両手足がしびれる


ラグビー少年.タックル失敗で首を痛め,体中に電気が走って以来,首を前に曲げると,両手足がしびれるとの事で来院.

頚椎のレントゲン側面像では骨折などは見られないものの,前後屈撮影で比較すると,第一頚椎と第二頚椎の歯突起が一体となって大きく前にずれる環軸椎脱臼の診断.(マウスカーソルを画像に合わせると前屈時の写真になります.)

比較的まれな疾患ですが,第2頚椎歯突起形成不全(os odontoideum)という先天異常があると,軽微な外傷で環軸椎脱臼を起こします.最悪の場合も十分あるため,ラグビーはもちろん禁止,動揺性の大きいものは手術が必要になります.

症状が似ている病気にバーナー症候群があります.バーナー症侯群は通常片側だけがしびれることが多く,両手がしびれる場合は要注意です.

 

松坂大輔投手 復帰まで1年かかる靱帯再建手術の可能性

尺内側側副靭帯損傷

レッドソックス・松坂大輔投手(30)が違和感を訴えた右肘は、肘内側側副靱帯損傷。球団の発表では通算6度目の故障者リスト(DL)入りとともに,17日に受けたMRI(磁気共鳴画像)検査で右肘の内側側副靱帯損傷と屈筋群の炎症が見つかり,2週間後の再検査まで投球を控えることを発表した.一部米メディアは復帰まで1年かかる靱帯再建手術の可能性にも触れた.

 肘尺側(内側)側副靭帯再建術は1974年,かの有名なフランクジョーブがドジャーズの投手に行った靭帯再建術.膝前十字靱帯再建術と同様,切れた靭帯をつなぎ合わせる(修復術)ではなく,長掌筋腱やハムストリングスの腱などを用いて新たに靭帯を再建する手術法.

 村田兆治,桑田真澄の時代から肘の故障者はジョーブの元へ渡米して手術していた.現在は日本でもスーパードクターがいっぱいいます.