両手のしびれで来院.
リハビリすると 多少軽快するため2週間ほど経過見ていましたが, しびれが増強するため,頚椎MRI検査を行いました.
脳実質に水がたまるのと同様に,脊髄に水が たまって神経を圧迫していました.
MRIでは簡単に診断できますが,頻度は多くなく, 初期症状から脊髄空洞症を疑うことはできませんでした.
リトルリーグ肩|上腕骨近位骨端線離開
こどもの野球肩は大人の野球肩と異なり,上腕骨の成長軟骨での障害が多く認められます.
成長軟骨に過大な力が加わると骨折するのですが,成長線の部分の骨折なのでレントゲンでは判別できません.診断は圧痛点や可動域などの診察による臨床所見で判断します.
画像は明らかに骨折していた野球少年の肩のレントゲン画像です.初診時(左)よく見るとすでに骨の隆起が見られますが,3週後のレントゲンでははっきりと仮骨が形成されています.これでひとまずは治った状態としていいのですが,原因となる投球フォームや練習頻度などを修正しないと同じことの繰り返しになってしまうので要注意です.
ここまで明らかに成長軟骨の部分で骨折していると,骨端線の部分で成長することができなくなり,将来的に骨の変形や上肢長の左右差が出たりする可能性があります.
野球肩と野球肘の関係|稲毛整形外科
野球肩と野球肘の関係について
野球肩と野球肘は、投球動作によって引き起こされる上肢の障害です。野球肩は、肩関節の軟骨や靭帯が炎症や損傷を受けることで、痛みや可動域の制限を引き起こす状態です。野球肘は、肘関節の内側にある尺骨側副靭帯が炎症や断裂を起こすことで、痛みや腫れ、しびれなどの症状を引き起こす状態です。野球肩と野球肘は、それぞれ別の部位の障害ですが、実は密接な関係があります。
投球動作は、上腕骨と前腕骨の間の角度(肘屈曲角)と、上腕骨と胴体の間の角度(肩外旋角)によって特徴づけられます。投球動作は、一般に以下の4つのフェーズに分けられます。
- ワインドアップフェーズ:投手が足を上げて体重を後ろに移動させるフェーズです。このフェーズでは、肘屈曲角は約90度、肩外旋角は約0度です。
- コッキングフェーズ:投手が腕を振り上げてボールを後ろに引くフェーズです。このフェーズでは、肘屈曲角は約90度から120度、肩外旋角は約90度から180度まで増加します。
- アクセラレーションフェーズ:投手が腕を振り下ろしてボールを投げるフェーズです。このフェーズでは、肘屈曲角は約120度から20度まで減少し、肩外旋角は約180度から0度まで減少します。
- ディセラレーションフェーズ:投手が腕を振り切ってフォロースルーするフェーズです。このフェーズでは、肘屈曲角は約20度から0度まで減少し、肩外旋角は約0度から-90度まで減少します。
このように、投球動作は、肘屈曲角と肩外旋角が同期して変化する複雑な運動です。しかし、この同期が乱れると、野球肩や野球肘の原因となります。例えば、コッキングフェーズで肘屈曲角が過度に大きくなると、肩外旋角が不足し、肩関節に過剰な負荷がかかります。これが野球肩の一つの原因です。逆に、アクセラレーションフェーズで肘屈曲角が過度に小さくなると、肩外旋角が過剰になり、肘関節に過剰な負荷がかかります。これが野球肘の一つの原因です。
したがって、野球肩と野球肘の予防や治療には、投球動作の分析や改善が重要です。
これらのフェーズの中で、特にアクセラレーションとディセラレーションが野球肩と野球肘の原因となります。アクセラレーションでは、肩関節にかかる内旋トルクが最大になります。これによって、肩関節の前方にある軟骨や靭帯が摩耗や断裂する可能性があります。また、肘関節にかかる屈曲トルクも最大になります。これによって、肘関節の内側にある尺骨側副靭帯が伸展や断裂する可能性があります。ディセラレーションでは、肩関節にかかる外旋トルクが最大になります。これによって、肩関節の後方にある軟骨や靭帯が圧迫や損傷する可能性があります。また、肘関節にかかる伸展トルクも最大になります。これによって、肘関節の外側にある橈骨側副靭帯が圧迫や損傷する可能性があります。
野球肩や野球肘を予防するには、正しい投球フォームを身につけることや、ウォーミングアップやストレッチングをしっかり行うことが大切です。
前鋸筋麻痺|稲毛整形外科
前鋸筋麻痺とは、前鋸筋という胸郭の外側にある筋肉の機能が低下する状態です。前鋸筋は、肩甲骨を胸郭に固定する役割を果たしており、前鋸筋麻痺になると、肩甲骨が胸郭から離れて突き出す「翼状肩甲骨」という症状が現れます。これにより、肩関節の可動域や力が低下し、腕の挙上や回旋などの動作が困難になります。
前鋸筋麻痺の原因は、主に前鋸神経という神経の損傷です。前鋸神経は、頚部から腕にかけて走行する神経で、前鋸筋を支配しています。前鋸神経は、外傷や圧迫などにより容易に損傷されることがあります。例えば、交通事故やスポーツなどで頚部や腕を強く打つことや、長時間の姿勢不良や重い荷物を持つことなどが原因となることがあります。また、感染症や免疫疾患などの全身性の疾患や、腫瘍や血栓などの局所的な病変も原因となる可能性があります。
前鋸筋麻痺の診断は、主に臨床所見と画像検査により行われます。臨床所見では、肩甲骨の形態や動きを観察し、前鋸筋の力や感覚を評価します。画像検査では、X線やMRIなどで頚部や腕の構造を詳しく調べ、神経の圧迫や断裂などの異常を確認します。また、電気生理学的検査という方法で神経の伝導速度や筋電図などを測定し、神経の機能障害の程度や部位を特定します。
前鋸筋麻痺の治療は、原因によって異なりますが、一般的には保存的治療と手術的治療の2つに分けられます。保存的治療では、まずは安静にして神経の回復を待ちます。また、薬物療法や物理療法などで痛みや炎症を抑えたり、筋力や可動域を改善したりします。手術的治療では、神経の圧迫や断裂が明らかな場合に行われます。神経の解放や移植などで神経の通路を回復させたり、他の筋肉や腱を移動させて前鋸筋の代償を行ったりします。
読売新聞に掲載されました|肩関節石灰沈着性腱板炎
今日の読売新聞に掲載されました