北京五輪女子マラソン野口みずき

 アテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずき(30)が左大腿(だいたい)二頭筋の肉離れ及び左半腱(けん)様筋の損傷(左太もも肉離れ)のため、同種目史上初の2連覇を目指していた北京五輪を欠場する。

 野口は七月上旬からスイス・サンモリッツで高地合宿を行っていたが、7/25に臀部下(坐骨結節)に痛みを訴え、痛みが取れないため日程を短縮して今月四日に帰国。京都の病院で磁気共鳴画像装置(MRI)検査を2度受け、左太ももと脚の付け根付近の筋肉を損傷していることが分かった。(野口が五輪欠場 左太もも肉離れで断念

 短距離選手に多く見られる大腿後面部(ハムストリングス)の肉離れは,大腿前面の大腿四頭筋や下腿後面の肉離れに比べ,長期化しやすく,再発傾向も多く,アスリートにとっては最も致命的なスポーツ障害です。

 ハムストリングス(大腿二頭筋)の肉離れはハムストリングスの柔軟性の欠如、拮抗筋である大腿四頭筋との筋力アンバランスが素因となります。ストライドが大きいと大きな負荷がかかるため,短距離選手に限らず,ストライド走法で踵着地のマラソンランナーは肉離れを起こしやすいといえます。

 高地トレーニングは心肺機能を高めることができますが,骨筋肉にも過大な負荷をかけます.加えてクロスカントリーのような走りをすると大腿四頭筋とハムストリングの筋バランスが崩れ,坐骨結節の疲労骨折や肉離れを起こし易くなると考えられます.

膝軟骨損傷

 軟骨損傷は成長期では単独で起こることが多く、離断性骨軟骨炎といわれます。

 骨成熟後は靱帯損傷に伴って軟骨損傷を起こしていることが多く、さらに靱帯損傷受傷時は軟骨損傷を起こしていなくても、使っているうちに二次性の軟骨損傷を引き起こします。前十字靭帯損傷を放置して、激しい運動をしていると、1年以内に90%以上が、半月板損傷や軟骨損傷を起こすことが知られています。

 前十字靭帯再建術後のスポーツ復帰時期は昔より早くなりましたが、それでも半年以上かかります。手術方法やリハビリの理論は進歩しましたが、傷の治る時間は何も変わっていません。切り傷が半日で治らないのと同じく、再建した靱帯が骨と固着して、自分の膝になじむまでに3-6ヶ月はどうしても必要です。(私の博士論文の研究テーマでした)

 ウッズは左膝の損傷した軟骨を取り除く関節鏡視下手術を4月に受けたばかり。その間の厳しいリハビリで脛骨を疲労骨折していた事が今期欠場の最終決定打になったものと思われます。