ランニングによる疲労骨折について

ランニングは健康に良い運動ですが、やりすぎると足の骨にダメージを与える可能性があります。ランニングによる疲労骨折とは、同じ部位に小さな力が繰り返し加わることで、骨に亀裂が入ったり、折れてしまったりする状態です。ランニングでの疲労骨折は、主に脛骨(すねの骨)、中足骨(足の甲の骨)、腓骨(すねの外側の骨)などに起こりやすいです。

疲労骨折の原因は、過度のトレーニング、不適切なシューズやフォーム、栄養不足やホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。疲労骨折の症状は、運動時や圧迫時に痛みを感じることが多く、患部が腫れたり硬くなったりする場合もあります。疲労骨折はレントゲン検査やMRI検査などで診断されます。

疲労骨折の治療法は、原則として安静にすることです。原因となった運動を中止し、患部に負担をかけないようにします。必要に応じて松葉杖やギプス固定などを行います。また、栄養バランスの良い食事やサプリメントを摂ることも大切です。完治までには数週間から数ヶ月かかる場合があります。

疲労骨折を予防するためには、以下のことに注意しましょう。

・トレーニング量や強度を徐々に増やす
・シューズや靴下を足に合わせて選ぶ
・ランニングフォームを正しくする
・地面が硬すぎない場所で走る
・ストレッチや筋トレで筋力や柔軟性を高める
・カルシウムやタンパク質などの骨を強くする栄養素を摂る
・女性ホルモンのバランスを整える

ランニングは楽しく健康的な運動ですが、無理をしないようにしましょう。自分の体調やレベルに合わせてトレーニングを行い、疲労骨折を予防しましょう。

腰椎分離症|疲労骨折は椎弓下側から始まる

腰椎分離症

稲毛整形外科ホームページ”腰椎分離症”の写真を更新しました.

腰椎分離症は腰椎後方部分の椎弓が疲労骨折を起こすことにより腰痛をきたす疾患で,若年者に多いスポーツ障害です.

右図は初期の腰椎分離症のレントゲン写真です.椎弓は上に凸の薄い板状の骨で,腰をひねったりそらせたりする繰り返しのストレスで疲労骨折を起こします.初期はレントゲンでもわかりませんが,注意して経過を見ているとほとんどの場合,椎弓の下側,くぼんでいる方から割れてきます.

これは椎弓全体が引き伸ばされる力により下側からヒビが入るためと考えられ,野球で右打ちの場合,左側に牽引力がかかり,分離症をおこします.野球のピッチングやテニス,バトミントンなどのラケットスボーツでも多くは左側が分離しています.

腰椎分離症は初期はレントゲンではわからず,見逃されることが多く,分離が進むと長期間(長いと半年!)のコルセット固定とスポーツ禁止が必要になります.右図のレントゲンの状態でもごく初期とはいえず,レントゲンでわかるような分離症になる前に診断し,予防することが大切です.

脛骨疲労骨折|フルマラソン後長引く膝痛

脛骨疲労骨折フルマラソン後,1ヶ月たっても膝の内側の痛みがとれず来院.本人はランナー膝と思っていたとのこと.フルマラソンに向けてかなり追い込んだらしい.

狭義のランナー膝は外側の腸脛靭帯炎をさし,内側のこの部位の痛みは鵞足炎.どちらにしても,普通はストレッチと安静でよくなるはず.

引き続きリハビリで経過を見ていても,軽快傾向なく,半月板や軟骨損傷の可能性もあるためMRIをとってみると.鵞足部に一致して脛骨疲労骨折の所見.画像を見て,本人も納得.T字杖を1ヶ月ついてもらって,完治しました.

フルマラソン後,足腰が痛むのは当然といえば当然ですが,1ヶ月以上痛みが取れない場合は要注意です.

恥骨下枝疲労骨折(6W後)|原因不明の股関節痛

 あけましておめでとうございます.

クリックで初診時のレントゲンへ 右図は11/18にupした恥骨下枝疲労骨折 の6週間後のレントゲンです.

 前回,疲労骨折しているといってレントゲンを見せても納得してもらえなかった骨折部(黄矢印で示した部分)にもようやく仮骨(新しい骨)ができてきました.

 何もしなくてもこの程度の骨折は勝手に治りますが,まだ走れません.治ったとしても同じ練習メニュー,ランニングフォームでは再骨折する可能性があります.

 原因不明の股関節痛にも原因はあります.次号ランニングスタイル(今月1/9発売か?)では股関節周囲のランニング障害を取り上げます.

 前回号を探したがどこにも売っていないというお言葉をいただきました.発行部数が少ないのか,販売店が少ないのか,売り切れ必至ですので,お早めに.

 本年もよろしくお願いいたします.

恥骨下枝疲労骨折|女性ランナーの股関節痛(鼠径部痛)の原因

女性ランナーの股関節痛(鼠径部痛)の原因のひとつに恥骨下枝疲労骨折があります.

 長時間のランニングでは骨盤への繰り返しのストレスにより,あらゆる部位に疲労骨折を生じます.女性ランナーの疲労骨折は会陰部の恥骨下肢に多く認められ,内股や下腹部に放散痛を生じ,走行不能となります.

クリックで6週後の画像へ 恥骨下肢には大内転筋が付着しており,着地から蹴り出し期にかけて,大臀筋の股関節に対する外旋作用を打ち消しています.このバランスが崩れると,骨にストレスがかかり,疲労骨折を起こします.

 若い女性ランナーに多いのは,貧血,ダイエット,ホルモン異常による生理不順や無月経,骨密度の低下などが基盤にあると考えられています.(David Klossner,2000)

 早期の診断には骨シンチグラフィーやMRIが有効で,レントゲンでは異常なしとされる場合も多く見られます.治療は骨折が治癒するまで運動を制限する必要があり,数ヶ月間を要します. .

 スクワットで膝関節を伸展していく際に,膝が内側に入ってしまう方や,ランニングで膝が内側を向いてしまう方(いわゆる女の子走り)は,内転筋と大殿筋とのバランスが乱れていることが考えられます.