坐骨神経痛と帯状疱疹について
坐骨神経痛とは、腰から足にかけて走る坐骨神経が圧迫や炎症などによって刺激されることで起こる痛みのことです。坐骨神経痛の症状は、腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足の裏にかけて鋭い痛みやしびれ、筋力低下などがあります。坐骨神経痛の原因はさまざまですが、最も多いのは椎間板ヘルニアです。腰の椎間板が飛び出して坐骨神経を圧迫することにより起こることが多い坐骨神経痛ですが、坐骨神経に帯状疱疹のウイルスが住み着いてヘルニアによる坐骨神経痛と同じ症状を起こすことが時としてあります。
帯状疱疹による坐骨神経痛は水ぶくれが痛みの部位に一致して出ることですぐにわかるのですが、皮膚症状が出るまでに1週間近くかかることが多く、当院でも年に数名、皮疹が出る前に受診され、椎間板ヘルニアと間違えることが時としてあります。
帯状疱疹とは、水ぼうそうにかかったことがある人に起こる感染症の一種です。水ぼうそうにかかった後も、水ぼうそうウイルスは神経節に潜伏しています。免疫力が低下したり、ストレスや加齢などの要因でウイルスが再活性化すると、帯状疱疹が発生します。帯状疱疹の特徴は、ウイルスが住み着いた神経の支配領域に沿って赤い発疹や水ぶくれができることです。これらの発疹や水ぶくれは非常にかゆみや痛みを伴います。
帯状疱疹による坐骨神経痛について
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる皮膚の感染症です。このウイルスは、水ぼうそうにかかった後も神経に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して帯状疱疹を発症します。帯状疱疹は、主に胸から背中にかけての片側の皮膚に赤い発疹や水ぶくれができ、強い痛みを伴います。通常は数週間で治癒しますが、一部の人では、発疹が治っても神経の痛みが残ることがあります。これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。
帯状疱疹後神経痛は、神経障害性の慢性的な痛みであり、通常の鎮痛薬では効果が不十分な場合が多いです。帯状疱疹後神経痛の特徴は、以下のようなものです。
- 焼けるような、刺すような、ひきつるような、しびれるようななど、さまざまな種類の不快感や痛みがある。
- 痛みは、帯状疱疹が出た部分に限られることが多いが、場合によっては広がることもある。
- 痛みは、触れられたり、温度や風などの刺激に反応して増悪することがある。
- 痛みは、日中や夜間に強くなったり弱くなったりすることがある。
- 痛みは、数か月から数年にわたって持続することがある。
帯状疱疹後神経痛の治療には、主に薬物治療と非薬物治療があります。
薬物治療では、抗ウイルス薬や抗うつ薬、抗てんかん薬などが用いられます。これらの薬は、神経の興奮を抑えて、痛みを和らげる効果があります。しかし、副作用や効果の個人差もあるため、医師の指示に従って適切に服用する必要があります。非薬物治療では、温冷刺激や電気刺激、マッサージや鍼灸などが行われます。これらの方法は、血行を改善したり、神経の伝達を変化させたりして、自然治癒力を高める効果があります。また、リラクゼーションやストレス管理などの心理的なサポートも重要です。
帯状疱疹後神経痛は、予防することが難しい場合もありますが、早期に帯状疱疹の診断と治療を受けることで、発生率や重症度を低下させることができます。また、高齢者や免疫力の低下した方は、帯状疱疹の予防接種を受けることで予防することも可能です。帯状疱疹後神経痛に悩んでいる方は早急に医師に相 談しましょう。