肩鎖関節脱臼|手術治療

肩鎖関節脱臼肩から落下して鎖骨が折れて飛び出してる

という患者さんには,まず,肩関節を覆っている骨は肩甲骨で,肩甲骨と鎖骨の継ぎ目,いわゆる肩鎖関節というところの靭帯が切れて,脱臼しているということの説明から始めます.

右写真の黄矢印のところが肩鎖関節で,通常は同じ高さにあるのですが,鎖骨が筋肉に引っ張られて上のほうに転位しており,そこが飛び出したように見えるのです.

脱臼の程度により,痛み方も様々ですが,通常は2,3週間で痛みが取れるので,急性期の鎮痛処置だけで治療は終わりますが,跳ね上がった鎖骨端の外観上の変形は残ってしまいます.

この変形を治そうとすると,手術が必要になるのですが,いまだにいい手術法がなく,日本骨折治療学会のホームページでも ”各医療機関の得意な方法で手術をしています。各医療機関にて詳しい説明を受けて下さい。” とあります.

いい手術法,いわゆるgolden standard(標準)といわれる方法がないのはなにをやってもいい悪いは別にして結果(予後)は現段階では同じということだと思います.

 

肩腱板損傷;インナーマッスルの筋萎縮

今日は筋萎縮の話.

最近足がつりやすいとのことで来院された患者さん.通常は神経系の異常でつりやすくなるので、腱反射などの所見を診るも正常範囲.足くびがうまく動かせず,アキレス腱が断裂していた.よく話を聞いてみると半年以上前に受傷していた.痛みがないので普通に生活していたが,アキレス腱が付着しているヒラメ筋が異常に頑張っていたため、仮性肥大を起こし,異常につりやすくなるものと思われた.

このケースのように筋肥大を起こす場合もあるが、通常は腱が断裂するとその筋肉は動かなくなるため、筋線維の体積が減少し、筋肉は細くなるだけである.

肩の腱板損傷でインナーマッスルが動かなくなると,右MRIのように筋肉が委縮する(黄矢印;筋肉の間に白いスペースができてしまう)だけでなく、脂肪変性を起こしてしまい、回復に長期間を要する.腱板断裂の患者さんのMRIを注意して見ていると結構脂肪変性が多く認められる.

通常の大腿四頭筋などアウターマッスルが筋萎縮を起こしても足が細くなるだけで,脂肪にはならないので,インナーマッスルだけが脂肪変性を起こすとの仮説を立ててみたが,私の腹筋はアウターマッスルにもかかわらず,脂肪変性を起こしているようだ.

少年野球教室|稲毛整形外科

来る8月27日、稲毛整形外科において少年野球教室を開催します。

小・中学生を対象に、当院で指導しているピッチング例やトレー二ング、ストレッチの方法等、障害を未然に防ぐための方法を稲毛整形外科理学療法士がお教えします。

稲毛整形外科 夏休み少年野球教室

 開催日:8月27日(土) 14:30-

時間:受付14時15分、開始14時30分、終了予定16時頃

対象:小中学生(保護者様及び監督、コーチの付き添いも可能です)

当日の内容:

1.投球障害講座:肘、肩の投球障害について

2.少年野球の特性:年齢別投球可能数等

3.投球動作指導:稲毛整形外科の理学療法士が投球ポイントをチェックし、指導します。自宅でできるストレッチや、エクササイズ、セルフチェックポイントなど約1時間の内容になります。

持ち物:室内履き、グローブ、飲み物、動きやすい服装

参加希望の方は、①年齢、②学年、③ポジション、④返信先、⑤ご質問、ご要望(なければ構いません)を下記まで、メールにてご予約いただきますよう宜しくお願い致します。

連絡先:稲毛整形外科千葉スポーツクリニック リハビリテーション科穐山

松坂大輔投手 復帰まで1年かかる靱帯再建手術の可能性

尺内側側副靭帯損傷

レッドソックス・松坂大輔投手(30)が違和感を訴えた右肘は、肘内側側副靱帯損傷。球団の発表では通算6度目の故障者リスト(DL)入りとともに,17日に受けたMRI(磁気共鳴画像)検査で右肘の内側側副靱帯損傷と屈筋群の炎症が見つかり,2週間後の再検査まで投球を控えることを発表した.一部米メディアは復帰まで1年かかる靱帯再建手術の可能性にも触れた.

 肘尺側(内側)側副靭帯再建術は1974年,かの有名なフランクジョーブがドジャーズの投手に行った靭帯再建術.膝前十字靱帯再建術と同様,切れた靭帯をつなぎ合わせる(修復術)ではなく,長掌筋腱やハムストリングスの腱などを用いて新たに靭帯を再建する手術法.

 村田兆治,桑田真澄の時代から肘の故障者はジョーブの元へ渡米して手術していた.現在は日本でもスーパードクターがいっぱいいます.

離断性骨軟骨炎|野球肘の再発は必ずレントゲンを

離断性骨軟骨炎

肘が伸ばせなかったら離断性骨軟骨炎の可能性大

野球肘は,投球動作で傷めた肘痛の総称で,肘が完全に伸ばせなくなったり,肘の外側にも痛みがある場合は要注意です.

肘が完全に伸びず,最終伸転でカチッととまってしまうものをtight endと呼び.痛みや関節拘縮でもう少し伸びそうな状態(soft end)と異なり,軟骨損傷や関節ねずみによるロッキングが疑われます.痛みで伸びない場合は,麻酔やリハビリなどで痛みがとれれば完全伸展可能となりますが,tight endの場合はいくらマッサージに通っても戻りません.

卒業式を控え,マッサージでしのいできた野球肘を診てもらいに来た学生さん.肘が20度ぐらい曲がったままで,完全に伸ばそうとしても伸びず,tight end.レントゲンでは外側の軟骨がでこぼこに削れており,離断性骨軟骨炎の末期.ここまでくると治療には1年以上かかるため,進学を期にサッカーなどに転向した方がよさそうです.

野球肘で投げられなくなるほど痛くなる野球少年の殆どは,今までにも1週間ほど休めば痛みが取れていたのが,今回はなかなか痛みが取れない.と来院されるケースが少なくありません.肘の痛みを感じたらまず1週間の投球禁止.投球再開して痛みが再発するようであれば,まずスポーツ整形外科を受診して,レントゲンで骨に異常がないかどうか調べる必要があります.