膝関節リウマチ|膝の水を抜くと癖になる

膝の水を抜かないと軟骨が溶けていく

膝の病気では膝の関節に水がたまって曲げにくくなることもしばしば.

“水を抜くと癖になる.”と,誰が言い出したのかはわかりませんが,抜いても抜いても水がたまるというのはよくあることです.膝の水を抜くと,膝の水を産生している滑膜がさらに炎症を起こすため,原因の治療をせずに頻回に水をぬくことは勧められません.

しかし,リウマチや化膿性膝関節炎などの関節炎で膝に水がたまる場合は,膝の水を抜かないと軟骨が溶けていくので,水がたまらないようにするために,なおさら原因を考慮した治療が必要です.

膝関節炎 右の写真は,水がたまったまま2,3カ月接骨でマッサージだけしていた若い女性.左膝だけでなく,右膝まで痛くなってきたので来院.

レントゲンでは明らかに左膝の関節の隙間が狭くなっており,関節リウマチが疑われます.膝関節水腫を放置したため,数カ月で軟骨が溶けてしまい,関節の隙間がなくなってしまいました.

もう少し早く受診してくれればと思った症例です.

 

ランナー膝|PLC損傷

膝の外側から膝裏にかけての痛み

成人の日が第二月曜日で連休になり,正月気分が抜けるのが遅くなり,あっという間に1月も半ばという方も多いと思います.

千葉マリンマラソン,東京マラソンなど,マラソンシーズンもたけなわ.今回はランナー膝について.

楽天最安値ワコールCW-Xメンズレボリューションモデル 30%off 膝関節の後外側複合体(PLC,posterolateral complex)はランナー膝の主原因となる腸脛靭帯の下にある,膝の後外側回旋不安定性を制御する大切な部分で,主に膝の外旋(スクリューホームムーブメント)に関わっています.

膝の後外側支持機構である後外側複合体(PLC)は膝の捻挫など,一回の大きな外傷で損傷するほか,ランニングや筋力低下などの反復するストレスによる障害で,変形性膝関節症の原因となることが知られています.

スポーツタイツは地面を蹴り易くする一方,きつかったり,生地が厚いと大腿,膝の戻しが遅くなり,股関節や膝裏を痛める原因になります.上図はランニング用機能性タイツの定番CW-Xの最新版.軽量化され,締め付け感も少ないと評判だそうです.

ランナー膝と言われたものの,膝の外側だけでなく,膝裏にかけて放散する痛みは,PLC損傷や膝窩筋炎が疑われます.狭義のランナー膝=腸脛靭帯炎で,PLC損傷や膝窩筋炎も広義のランナー膝といえますが,治療法は異なります.なかなか膝裏の痛みが取れない方はご相談ください.

本年もよろしくお願いいたします.

膝窩嚢腫(ベーカーのう腫)|膝の裏側が張って膝を深く曲げられない

膝窩嚢腫 膝の後ろにこぶし大の腫瘤.硬いしこりのようなものを触れる場合はほとんどが膝窩嚢腫(ベーカーのう腫)です.

膝窩嚢腫でMRIをとることはめったにありませんが,この方の場合は大腿裏までグニュッとした触感で,軟部腫瘍と鑑別のためにMRIを撮影.

右のMRI画像は膝の縦断面で右側の白い部分がすべて水で,大腿裏側まで広がる膝窩嚢腫でしたが,やわらかい腫瘤の場合は色素性絨毛性滑膜炎や腫瘍を考えなくてはいけません.

ランナー膝の取材記事

 日本経済新聞・土曜日版「NIKKEIプラス1」にランニング障害の取材記事が掲載されました.

膝関節周辺のランニング障害は股関節や肩関節等と比べると筋肉が少なく,痛い場所がはっきりわかるので,ある程度自己診断もできると思いますが,スポーツ整形外科では,原因に対する対応策,障害部位に応じたストレッチ法の指導を行います.

指でここが痛い!と示すことができないような膝の奥の痛みは,靭帯や半月板,軟骨の障害であることが多いので,どこが痛いのかはっきりしないときはスポーツドクターのいる”整形外科”を受診してください.