腰椎分離症の診断と治療|腰椎分離症の分離部の動きをレントゲンで見てみた

腰椎分離症は,成長期の過度な運動により起こす疲労骨折の一つと考えられています.腰で疲労骨折を起こす場所は腰椎の後方部分(右図黄矢印),椎間板の反対側で椎弓という部分.腰を反らすと骨折して炎症を起こしている部分が圧迫されて痛みを生じます.

ある程度腰椎分離がはっきりしてくると通常のレントゲンでも見つかることがあります.右図の分離症の写真にカーソルを合わせると後屈時の写真になりますが,後屈時は分離部の隙間が狭くなることがわかります.

通常分離していなければ動くことのない椎弓部分ですが,分離症では後屈させると,分離部(黄色の矢印の部分)がガバガバに動いています.この状態になると完全に治すこと(疲労骨折した椎弓部分が骨癒合して動かなくなること)は難しくなります.

腰椎分離症の治療は成長期であれば,骨癒合が期待できるので,硬いコルセットで腰を固定するのですが,数カ月にわたる運動禁止が必要となります.また運動禁止して固定していれば必ず治るというわけではありませんから,初期治療が大事になってきます.

腰椎分離症がレントゲンではっきりわかる時期はかなり進行した状態といえます.分離症の初期ではレントゲンやCT,MRIでもはっきりしませんが,理学所見である程度判断できますので,はやめにスポーツ整形外科を受診してください.

リトルリーグ肩|上腕骨近位骨端線離開

リトルリーグ肩
こどもの野球肩は大人の野球肩と異なり,上腕骨の成長軟骨での障害が多く認められます.

成長軟骨に過大な力が加わると骨折するのですが,成長線の部分の骨折なのでレントゲンでは判別できません.診断は圧痛点や可動域などの診察による臨床所見で判断します.

画像は明らかに骨折していた野球少年の肩のレントゲン画像です.初診時(左)よく見るとすでに骨の隆起が見られますが,3週後のレントゲンでははっきりと仮骨が形成されています.これでひとまずは治った状態としていいのですが,原因となる投球フォームや練習頻度などを修正しないと同じことの繰り返しになってしまうので要注意です.

ここまで明らかに成長軟骨の部分で骨折していると,骨端線の部分で成長することができなくなり,将来的に骨の変形や上肢長の左右差が出たりする可能性があります.

骨萎縮の回復は半年以上|稲毛整形外科

踵骨骨折は、高所からの転落や交通事故などによって踵骨に強い衝撃が加わることで起こる骨折です。踵骨は海綿骨でできているため、骨折後に免荷歩行を長期間行うと骨萎縮が生じやすくなります。

骨萎縮は、不動や低栄養などによって骨の吸収が骨の形成を上回る状態になると起こります。骨萎縮が進行すると、長時間歩行後の痛みが残ったり、再骨折のリスクが高まります。骨萎縮の回復には、適切な運動や栄養摂取が必要です。運動は、筋力を向上させ、骨への刺激を与えることで、骨の形成を促進します。栄養摂取は、カルシウムやビタミンDなどの骨に必要な成分を補給することで、骨の吸収を抑制します。

踵骨骨折一か月後のレントゲン
踵骨骨折半年後のレントゲン

この患者さんは踵骨骨折で松葉免荷歩行を二カ月以上要したため、骨萎縮を生じてしまいました。その後徐々に体重をかけ始め、骨折後半年以上かかって骨萎縮が回復しました。

レントゲンで見ると一カ月目で真っ黒に抜けていた右下の踵骨骨端部が半年後には白くなり骨梁が回復して周囲と同じ白い色調に回復しているのがわかります。

この間に理学療法を受けて、関節可動域や筋力の強化、固有感覚の訓練などを行いました。踵骨骨折は予後が不良になりやすいため、早期に適切な治療とリハビリテーションが必要です。

野球肩と野球肘の関係|稲毛整形外科

野球肩と野球肘の関係について

野球肩と野球肘は、投球動作によって引き起こされる上肢の障害です。野球肩は、肩関節の軟骨や靭帯が炎症や損傷を受けることで、痛みや可動域の制限を引き起こす状態です。野球肘は、肘関節の内側にある尺骨側副靭帯が炎症や断裂を起こすことで、痛みや腫れ、しびれなどの症状を引き起こす状態です。野球肩と野球肘は、それぞれ別の部位の障害ですが、実は密接な関係があります。

投球動作は、上腕骨と前腕骨の間の角度(肘屈曲角)と、上腕骨と胴体の間の角度(肩外旋角)によって特徴づけられます。投球動作は、一般に以下の4つのフェーズに分けられます。

  1. ワインドアップフェーズ:投手が足を上げて体重を後ろに移動させるフェーズです。このフェーズでは、肘屈曲角は約90度、肩外旋角は約0度です。
  2. コッキングフェーズ:投手が腕を振り上げてボールを後ろに引くフェーズです。このフェーズでは、肘屈曲角は約90度から120度、肩外旋角は約90度から180度まで増加します。
  3. アクセラレーションフェーズ:投手が腕を振り下ろしてボールを投げるフェーズです。このフェーズでは、肘屈曲角は約120度から20度まで減少し、肩外旋角は約180度から0度まで減少します。
  4. ディセラレーションフェーズ:投手が腕を振り切ってフォロースルーするフェーズです。このフェーズでは、肘屈曲角は約20度から0度まで減少し、肩外旋角は約0度から-90度まで減少します。

このように、投球動作は、肘屈曲角と肩外旋角が同期して変化する複雑な運動です。しかし、この同期が乱れると、野球肩や野球肘の原因となります。例えば、コッキングフェーズで肘屈曲角が過度に大きくなると、肩外旋角が不足し、肩関節に過剰な負荷がかかります。これが野球肩の一つの原因です。逆に、アクセラレーションフェーズで肘屈曲角が過度に小さくなると、肩外旋角が過剰になり、肘関節に過剰な負荷がかかります。これが野球肘の一つの原因です。

したがって、野球肩と野球肘の予防や治療には、投球動作の分析や改善が重要です。

これらのフェーズの中で、特にアクセラレーションとディセラレーションが野球肩と野球肘の原因となります。アクセラレーションでは、肩関節にかかる内旋トルクが最大になります。これによって、肩関節の前方にある軟骨や靭帯が摩耗や断裂する可能性があります。また、肘関節にかかる屈曲トルクも最大になります。これによって、肘関節の内側にある尺骨側副靭帯が伸展や断裂する可能性があります。ディセラレーションでは、肩関節にかかる外旋トルクが最大になります。これによって、肩関節の後方にある軟骨や靭帯が圧迫や損傷する可能性があります。また、肘関節にかかる伸展トルクも最大になります。これによって、肘関節の外側にある橈骨側副靭帯が圧迫や損傷する可能性があります。

野球肩や野球肘を予防するには、正しい投球フォームを身につけることや、ウォーミングアップやストレッチングをしっかり行うことが大切です。

夏期休業のお知らせ 2023/8

2023/8/10(木)から2023/8/15(火)まで休診とさせていただきます.
2023/8/16水曜日より通常診療とさせていただきます.

毎週木曜日と土曜日午後、日曜日は休診日となっております。

昨年より引き続き新型コロナ対策としてマスク着用をお願いしております。発熱をともなう患者様は通常診療終了後に診察しておりますのであらかじめお電話にてご相談ください。
ご協力のほどよろしくお願いいたします.