肩腱板損傷;インナーマッスルの筋萎縮

今日は筋萎縮の話.

最近足がつりやすいとのことで来院された患者さん.通常は神経系の異常でつりやすくなるので、腱反射などの所見を診るも正常範囲.足くびがうまく動かせず,アキレス腱が断裂していた.よく話を聞いてみると半年以上前に受傷していた.痛みがないので普通に生活していたが,アキレス腱が付着しているヒラメ筋が異常に頑張っていたため、仮性肥大を起こし,異常につりやすくなるものと思われた.

このケースのように筋肥大を起こす場合もあるが、通常は腱が断裂するとその筋肉は動かなくなるため、筋線維の体積が減少し、筋肉は細くなるだけである.

肩の腱板損傷でインナーマッスルが動かなくなると,右MRIのように筋肉が委縮する(黄矢印;筋肉の間に白いスペースができてしまう)だけでなく、脂肪変性を起こしてしまい、回復に長期間を要する.腱板断裂の患者さんのMRIを注意して見ていると結構脂肪変性が多く認められる.

通常の大腿四頭筋などアウターマッスルが筋萎縮を起こしても足が細くなるだけで,脂肪にはならないので,インナーマッスルだけが脂肪変性を起こすとの仮説を立ててみたが,私の腹筋はアウターマッスルにもかかわらず,脂肪変性を起こしているようだ.

少年野球教室|稲毛整形外科

来る8月27日、稲毛整形外科において少年野球教室を開催します。

小・中学生を対象に、当院で指導しているピッチング例やトレー二ング、ストレッチの方法等、障害を未然に防ぐための方法を稲毛整形外科理学療法士がお教えします。

稲毛整形外科 夏休み少年野球教室

 開催日:8月27日(土) 14:30-

時間:受付14時15分、開始14時30分、終了予定16時頃

対象:小中学生(保護者様及び監督、コーチの付き添いも可能です)

当日の内容:

1.投球障害講座:肘、肩の投球障害について

2.少年野球の特性:年齢別投球可能数等

3.投球動作指導:稲毛整形外科の理学療法士が投球ポイントをチェックし、指導します。自宅でできるストレッチや、エクササイズ、セルフチェックポイントなど約1時間の内容になります。

持ち物:室内履き、グローブ、飲み物、動きやすい服装

参加希望の方は、①年齢、②学年、③ポジション、④返信先、⑤ご質問、ご要望(なければ構いません)を下記まで、メールにてご予約いただきますよう宜しくお願い致します。

連絡先:稲毛整形外科千葉スポーツクリニック リハビリテーション科穐山

松坂大輔投手 復帰まで1年かかる靱帯再建手術の可能性

尺内側側副靭帯損傷

レッドソックス・松坂大輔投手(30)が違和感を訴えた右肘は、肘内側側副靱帯損傷。球団の発表では通算6度目の故障者リスト(DL)入りとともに,17日に受けたMRI(磁気共鳴画像)検査で右肘の内側側副靱帯損傷と屈筋群の炎症が見つかり,2週間後の再検査まで投球を控えることを発表した.一部米メディアは復帰まで1年かかる靱帯再建手術の可能性にも触れた.

 肘尺側(内側)側副靭帯再建術は1974年,かの有名なフランクジョーブがドジャーズの投手に行った靭帯再建術.膝前十字靱帯再建術と同様,切れた靭帯をつなぎ合わせる(修復術)ではなく,長掌筋腱やハムストリングスの腱などを用いて新たに靭帯を再建する手術法.

 村田兆治,桑田真澄の時代から肘の故障者はジョーブの元へ渡米して手術していた.現在は日本でもスーパードクターがいっぱいいます.

離断性骨軟骨炎|野球肘の再発は必ずレントゲンを

離断性骨軟骨炎

肘が伸ばせなかったら離断性骨軟骨炎の可能性大

野球肘は,投球動作で傷めた肘痛の総称で,肘が完全に伸ばせなくなったり,肘の外側にも痛みがある場合は要注意です.

肘が完全に伸びず,最終伸転でカチッととまってしまうものをtight endと呼び.痛みや関節拘縮でもう少し伸びそうな状態(soft end)と異なり,軟骨損傷や関節ねずみによるロッキングが疑われます.痛みで伸びない場合は,麻酔やリハビリなどで痛みがとれれば完全伸展可能となりますが,tight endの場合はいくらマッサージに通っても戻りません.

卒業式を控え,マッサージでしのいできた野球肘を診てもらいに来た学生さん.肘が20度ぐらい曲がったままで,完全に伸ばそうとしても伸びず,tight end.レントゲンでは外側の軟骨がでこぼこに削れており,離断性骨軟骨炎の末期.ここまでくると治療には1年以上かかるため,進学を期にサッカーなどに転向した方がよさそうです.

野球肘で投げられなくなるほど痛くなる野球少年の殆どは,今までにも1週間ほど休めば痛みが取れていたのが,今回はなかなか痛みが取れない.と来院されるケースが少なくありません.肘の痛みを感じたらまず1週間の投球禁止.投球再開して痛みが再発するようであれば,まずスポーツ整形外科を受診して,レントゲンで骨に異常がないかどうか調べる必要があります.

肘の離断性骨軟骨炎,関節ネズミ

 オリックスの金子千尋投手(27)が7日、右肘に違和感を訴え、神戸に帰った。市内の病院で精密検査を受けた結果、9日に関節鏡による右肘遊離軟骨の除去手術を受けることが決定。復帰まで3か月以上かかる見込みで、前半戦の復帰は絶望的とみられる。

 金子千は5日に今キャンプ初めてブルペンに入り、19球を投げた。「肩の状態は問題ないけど、イメージした球筋では投げられてなかった」と不満そうで、6日にもブルペン入り。その直後に右肘に引っかかるような違和感を訴えた。社会人トヨタ自動車時代の04年5月に、右肘遊離軟骨による痛みが発症。手術を回避して05年にオリックスに入団し、2年目に1軍登板した経緯がある。

井筒明裕チーフトレーナー(47)は「一般的に1か月でボールを触り、(実戦で)投げられるまでは2、3か月ほど。投手なのでそれ以上かかることもある」と説明した。患部にとげ状の骨棘(こっきょく)があれば、復帰まで時間が余計に必要。術後1週間で抜糸し、宮古島に戻ってリハビリを行う。スポーツ報知

 

 ●肘の遊離軟骨  肘の離断性骨軟骨炎が悪化すると,関節の軟骨部分が剥がれ落ちて遊離体となり,関節の中をネズミのように動き回るので,”関節ネズミ”と呼ばれる.

 自転車のベアリングの中に砂をかけると動きがわるくなるのと同様,関節に引っかかりを生じたり,肘を完全に伸ばすことができなくなる.

 遊離体を放置すると,関節面を傷つけ,最終的には変形性関節症となり,関節が変形し,患部にとげ状の骨棘を生じ,痛みと可動域制限が残ります.