
ランナーのための痛み解消クリニック好評発売中

ランニング障害
鵞足炎は主にランニングにより発症するスポーツ障害ですが,サッカーやバスケットでも発症します.
縫工筋や薄筋,半腱様筋が脛骨に付着している部分がガチョウの足に似ているために鵞足(がそく)と呼ばれ,そこがランニングなどの動作で引っ張られて炎症を起こすといわれていますが,鵞足炎の本態は腱同士あるいは腱と骨がこすれて炎症(滑膜炎)起こしているものと考えられます.
右図の膝MRI側面像(左側が前)では,黄矢印で示される半腱様筋腱(黒くひも状に見える部分)が周囲の白い炎症をおこした滑液包のなかに映し出されています.
ここまで滑膜炎が拡大すると,日常動作にも支障をきたします.すねの上側,膝内側の痛みがなかなか引かない場合は, 鵞足炎のほかに,脛骨疲労骨折を疑います.
雑誌Running Style(ランニングスタイル) の私の連載コーナー”ナン君にお任せ!-ランナーの痛み解消クリニック”が本号をもちまして,終了となります.
ランニングブームの沸き起こった2009年から,”ナンくんがずばりお答えします-ランナーのための痛み解消クリニック-”として始まった企画は,ビギナーランナーが直面するであろう,カラダの痛みについて,原因となるランニングフォーム,予防法,ワークアウトを含め,ランニング障害のほとんどを網羅し,解説させていただきました.
ランニングを愛好する人々に支えられ,3年の長きに渡り,記事掲載ができました事,応援いただいた皆様に感謝いたします.特にランニング・スタイル編集部の染矢真帆様およびスポーツライターの前田成彦様(Office221)には,毎回千葉まで足を運んでいただいての取材だけでなく,何回もの修正にも快く対応していただきました.ありがとうございました.
雑誌ランニング・スタイルは今後とも月刊誌としてビギナーランナーを応援していきます.また,私も一人一人のランナーと向き合いながら,診療を通して,個々のランニング障害を克服していきたいと思います.今後ともよろしくお願いいたします.
今月のランニング相談は足くびの捻挫について.
当院,稲毛整形外科の職員も最近のフルマラソン後,足をひねったわけでもないのに2週間しても足を引きずっている.
診てみると外くるぶしのうしろを痛がっており,腓骨筋腱をいためているらしい.着地の際,踵が過度に内側に倒れこむ,オーバープロネーションが直接の原因.ランニングフォームと下腿筋力の改善が必要.
足くびの捻挫にも数種類あり,腓骨筋腱をいためると,長引くので要注意です.