肘の離断性骨軟骨炎,関節ネズミ

 オリックスの金子千尋投手(27)が7日、右肘に違和感を訴え、神戸に帰った。市内の病院で精密検査を受けた結果、9日に関節鏡による右肘遊離軟骨の除去手術を受けることが決定。復帰まで3か月以上かかる見込みで、前半戦の復帰は絶望的とみられる。

 金子千は5日に今キャンプ初めてブルペンに入り、19球を投げた。「肩の状態は問題ないけど、イメージした球筋では投げられてなかった」と不満そうで、6日にもブルペン入り。その直後に右肘に引っかかるような違和感を訴えた。社会人トヨタ自動車時代の04年5月に、右肘遊離軟骨による痛みが発症。手術を回避して05年にオリックスに入団し、2年目に1軍登板した経緯がある。

井筒明裕チーフトレーナー(47)は「一般的に1か月でボールを触り、(実戦で)投げられるまでは2、3か月ほど。投手なのでそれ以上かかることもある」と説明した。患部にとげ状の骨棘(こっきょく)があれば、復帰まで時間が余計に必要。術後1週間で抜糸し、宮古島に戻ってリハビリを行う。スポーツ報知

 

 ●肘の遊離軟骨  肘の離断性骨軟骨炎が悪化すると,関節の軟骨部分が剥がれ落ちて遊離体となり,関節の中をネズミのように動き回るので,”関節ネズミ”と呼ばれる.

 自転車のベアリングの中に砂をかけると動きがわるくなるのと同様,関節に引っかかりを生じたり,肘を完全に伸ばすことができなくなる.

 遊離体を放置すると,関節面を傷つけ,最終的には変形性関節症となり,関節が変形し,患部にとげ状の骨棘を生じ,痛みと可動域制限が残ります.

ダルビッシュまた登録抹消

 20090924日本ハムのダルビッシュ有投手(23)が23日、右肩と左腰周辺のコンディション不良のため、出場選手登録を抹消された。今季2度目。

右肩の不安から23日ぶりに復帰した13日のロッテ戦で15勝目を挙げたが、20日のオリックス戦では腰の張りの影響で自己ワーストの7与四球など5回2失点で今季最短降板。その後の経過も思わしくなく、登録抹消が決まった。(ダルビッシュまた登録抹消/野球/デイリースポーツonlineより)

なぜ右肩と左腰を痛めたのか?

野球肩は肩だけの問題ではなく,腰痛からくる野球肩もあります.

orthopedic physical assessment

肩肘はらず、手を抜かず|千葉上肢セミナー(第5回)

千葉上肢を語る会のセミナーに初参加.若い100人以上の研修医に囲まれて,朝から晩まで勉強会に参加してきました!(年齢的にはトップ10に入ると・・・

千葉大学整形外科の上肢グループが主催している勉強会ですが,パラメディカルの参加も多く,なかなかの盛況でした.

千葉市立青葉病院の六角先生の講義では,ボクサー骨折というと聞こえはいいが,実は酔っ払い骨折!というのがおおいにうけてました.確かに稲毛整形外科に来る患者さんもボクサーよりも酔っ払って壁を殴って1週間以上痛みがとれないので来る患者さんばっかりです.骨折して整復できるのはせいぜい2,3日なのに,恥ずかしくて,来るのが遅くなるので,さらに治療しにくくなっている.

船橋整形外科の菅谷先生曰く,膝の関節鏡のスペシャリストでも肩は治せないという講義には納得!本人は膝グループの先輩がまぎれ込んでるとは知らなかったようですが,手先が器用でも,腱板修復すれば肩の痛みが治るのかといえば,そうではなく,彼に同意です.

肩関節関節唇損傷や腱板損傷

 新学期を迎え,この1週間,非常に気になっていることがあります.

 中学生になって,硬式野球クラブチームに転向した野球少年が野球肩や腰痛で受診することの多いこと,多いこと.WBCの2連覇という,歴史的快挙に触発されたのか,実際にどのくらいの新中学生が,硬式野球に転向したのかわかりませんが,今年はとみに多く見られます.

 中学校の3年間は成長期で,本当に身長が伸びます.中学生になって,成長ホルモンの分泌も活発になり,骨も伸びる準備をはじめて,骨の成長軟骨がやわらかくなっています,冬が終わり,春の到来とともに,雪解け水で地面が柔らかくなり,植物が芽を出そうとしているのと同じ状態です.

 そのような時期に,今まで慣れ親しんだ軟式ボールから,重くて硬い,硬式ボールや,硬式のバットに変えてしまうとどうなるか?一部の生徒は適応できますが,筋力もない,骨も柔らかい,新入生は壊れてしまうことでしょう.肩関節の関節唇損傷や腱板損傷を起こす前に,骨が悲鳴をあげて,上腕骨の疲労骨折や,骨端線離開(骨折の一種)を起こしてしまいます.

 早くから,硬式野球に変更させるメリットも否定はできませんが,高校生になってから硬式野球に転向しても,半年で追いつけるという意見も見られます.学校のクラブ活動には所属せず,クラブチームで硬式野球をさせるのが,はたして良いのか難しい所です.子供の成長を楽しみながら,でも,無理をさせずに,暖かく見守ってあげる事も大切かと思います.

スポーツ肩|野球肩,水泳肩,テニス肩

水泳肩,テニス肩,ジャンパー膝,ランナー膝,ゴールキーパー拇指など,”スポーツ種目”+”関節名”の病名がスポーツ整形外科ではよく使われます.

肩峰下滑液包炎のMRI 右のMRIは水泳肩で腱板炎により肩峰下滑液包炎を起こしている写真.黄矢印の白い部分が滑液包.MRIでは水の多い部分が白く描かれるので,滑液包が炎症をおこすと,右写真のように,インナーマッスルである腱板とアウターマッスルの三角筋がはっきりとわかります.

水泳肩はローリングをうまく使えない,クロールのスイマーに多く見られます.肩甲骨の可動域を増やすことと,痛いほうと反対側の腰周りの筋肉を鍛えましょう.