少年サッカーのヘディングについて
サッカーでは、ヘディングという技術があります。ヘディングとは、頭でボールを扱うことです。ヘディングは、ゴールを決めたり、守備をしたりするときに重要な技術ですが、同時に危険な技術でもあります。なぜなら、ヘディングをするときに、頭に強い衝撃が加わることで、脳にダメージを与える可能性があるからです。
脳は、頭の中にある柔らかい臓器です。脳は、私たちの思考や感情、運動や感覚などの機能を司っています。しかし、脳は外部からの衝撃に弱く、頭を強く打つと脳が揺れてしまいます。これを脳震盪といいます。脳震盪は、頭痛やめまい、吐き気などの症状を引き起こすことがあります。また、重度の場合は、記憶障害や意識障害、さらには死亡に至ることもあります。
サッカーでヘディングをするときにも、脳震盪のリスクがあります。特に子どもの場合は、大人よりも首の筋力が弱く、ボールの衝撃を吸収する能力が低いため、より危険です。また、子どもの脳は発達途中であり、繰り返しの衝撃によって成長に影響を及ぼす可能性もあります。例えば、イギリスでは2019年に行われた研究で、元プロサッカー選手は一般人よりも認知症などの病気にかかる割合が3倍以上高いことが報告されました。
そこで、日本サッカー協会(JFA)は2021年4月に、「育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)」を発表しました。このガイドラインでは、「危ないからヘディングを禁止するのではなく、正しく恐れ、適切な方法でヘディングの習得を目指す」という方針を示し、育成年代でのヘディング習得のためのガイドラインとなっています。
- 幼児期(6歳以下)では、ヘディングは行わないことが望ましいです。ボールとの触れ合いや基本的な運動能力の向上に重点を置きましょう。
- U-9(7~8歳)では、ヘディングは軽いボールやバルーンなどで行うことができます。頭部の正しい使い方や姿勢などの基礎を身につけましょう。ヘディングの回数は週に1回程度に抑えましょう。
- U-12(9~11歳)では、ヘディングは通常のサッカーボールで行うことができますが、強度や回数は低く保ちましょう。ヘディングの技術や戦術を学びましょう。ヘディングの回数は週に2回程度に抑えましょう。
- U-15(12~14歳)では、ヘディングは通常のサッカーボールで行うことができますが、強度や回数は適切に調整しましょう。ヘディングの技術や戦術を磨きましょう。ヘディングの回数は週に3回程度に抑えましょう。
以上のガイドラインはあくまで目安です。個人差や環境差などによって変わる場合があります。育成年代でのヘディング習得にあたっては、常に安全性を考慮し、指導者や保護者が適切な判断と指導を行うことが必要です。