卓球肘(上腕骨外側上顆炎)

卓球選手にとって、肘の痛みはよく見られるスポーツ障害の一つです。特に、「卓球肘」と呼ばれる症状は、上腕骨外側上顆炎(テニス肘と似た状態)の一種で、バックハンド時に肘の外側に大きな負担がかかることで生じます。

主な原因

  1. スイングのフォーム:特にバックハンド時に、正確なフォームが欠けると肘に過剰な負荷がかかることがあります。
  2. 柔軟性の不足:前腕や肩甲骨周辺の筋肉が硬いと、肘への負担が増加します。
  3. 筋力のアンバランス:前腕の筋肉が偏って発達すると、肘の安定性が損なわれることがあります。
  4. 過剰な練習:休養を取らずに運動を続けると、肘周りの炎症を引き起こすリスクが高まります。

改善と予防

  • 休養:痛みが現れたら、無理せず休むことが重要です。
  • フォーム改善:特にバックハンド時の動作を動画で分析するなどして修正を試みましょう。
  • ストレッチと筋力強化:肩甲骨や前腕のストレッチ、そして筋肉のバランスを取るトレーニングを取り入れることが有効です。
  • サポーターやテーピング:肘を安定させるためにサポーターを使用するのも役立ちます。

インピンジメント症候群

  • 主な原因: 肘関節内で軟部組織が骨と衝突し、炎症や摩擦が生じることから発症します。特に肘後方に痛みが出ることが特徴です。
  • 症状: 肘の動かしづらさや後方の痛み、肘を伸ばす際の違和感。
  • 治療: 姿勢改善や肘後方のストレッチ、筋力強化による圧迫の緩和が有効です。

これらの症状は卓球のスイング動作に関連しているため、適切なフォームを習得することや、筋肉の柔軟性を保つことが予防に繋がります。

次回は福原愛ちゃんが手術した卓球肘の詳細について説明します。

肩関節唇損傷と肩腱板損傷の違い

肩関節唇損傷と肩腱板損傷は、それぞれ異なる部位や原因、症状を持つ肩関節の損傷です。以下に主な違いを整理しました:

肩関節唇損傷 (Labrum Tear)

  • 部位:
    • 関節唇は、肩甲骨の関節窩(グレノイド)を縁取る線維軟骨で、関節の安定性をサポートします。
    • 損傷は、関節唇の上部(SLAP損傷)や前方(Bankart損傷)など、特定の位置で発生。
  • 主な原因:
    • 肩の過剰な動き(例: 投球動作やサーブ動作)。
    • 転倒などによる急激な衝撃。
  • 主な症状:
    • 肩関節の不安定感。
    • 肩の動作時の引っかかりや痛み、クリック音。
  • : SLAP損傷(上方関節唇損傷)やBankart損傷(前下方部分)。

肩腱板損傷 (Rotator Cuff Tear)

  • 部位:
    • 腱板は棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋で構成される筋群で、肩関節の動きと安定性を調整します。
    • 損傷は腱が切れることで発生し、部分断裂または完全断裂として分類。
  • 主な原因:
    • 加齢に伴う腱板の摩耗や退行変性。
    • 肩関節の反復的なストレスや負荷。
  • 主な症状:
    • 肩の動きに伴う鋭い痛み、特に夜間痛が顕著。
    • 可動域制限と筋力低下。
  • 分類: 部分断裂(不全断裂)と完全断裂に分かれる。

違いをまとめると…

  • 関節唇は「安定性」をサポートする組織、腱板は「運動と安定」の両方を調整。
  • 関節唇損傷は不安定感や音が特徴で、腱板損傷は痛みや動きの制限が顕著。

それぞれの損傷には特有のリハビリや治療法がありますので、症状に応じたアプローチが必要です

肩関節不安定症のリハビリ

肩関節不安定症に対するリハビリは、肩の安定性を回復し、機能を向上させることを目的としています。以下は主なリハビリ方法の概要です:

初期段階

  1. 痛みの緩和と炎症の管理
    • 軽いストレッチやアイシングで炎症を抑制。
    • 静的な筋力トレーニングを実施(例:アイソメトリック運動)。
  2. 筋肉の再教育
    • 閉鎖性運動連鎖(例:壁押しエクササイズ)で、肩周囲の筋肉を刺激。
    • 回旋筋腱板(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)を中心に強化。

中期段階

  1. ダイナミックスタビライゼーション
    • ローテーターカフ筋群や肩甲骨の動きを伴うエクササイズ(例:ゴムチューブトレーニング)。
    • 軽い負荷での外旋・内旋運動で筋力を徐々に向上。
  2. 姿勢の改善
    • 肩甲骨周辺の筋肉(僧帽筋、前鋸筋)の柔軟性と筋力を向上。
    • 姿勢改善エクササイズで肩の動きをスムーズに。

最終段階

  1. スポーツ特化型トレーニング(必要に応じて)
    • スポーツ選手の場合、競技動作を意識した負荷の高い練習。
    • 投球動作やスイングなど特定の動作をターゲットにしたトレーニング。
  2. 機能的な運動と日常生活への復帰
    • 腕の全方向への可動域を最大化し、日常生活でのスムーズな動きを実現。
    • 抵抗運動を利用した筋力向上トレーニング。

リハビリの進行は個々の症状や状態により異なりますので、理学療法士や医師と連携し、計画的に進めることが重要です。

年末年始 休業のお知らせ

2023/12/30から2024/1/4まで休診とさせていただきます.
新年は2024/1/5金曜日より通常診療とさせていただきます.

今冬はコロナに加えてインフルエンザも流行しております。手洗い、マスク着用など感染対策して良いお年をお迎えください。

発熱をともなう患者様は通常診療終了後に診察しておりますのであらかじめお電話にてご相談ください。ご協力のほどよろしくお願いいたします.