反復性膝蓋骨脱臼

反復性膝蓋骨脱臼は,膝蓋骨が外側に外れやすく,膝を曲げて力を入れると,膝蓋骨(お皿)が外側に脱臼するため,階段昇降やスポーツ時に障害をきたします.常に亜脱臼位にあると膝蓋軟骨軟化症による膝前面痛を訴えます.外傷以外でも膝蓋骨脱臼を起こすため,適切な治療が必要です.

反復性膝蓋骨脱臼の症状

反復性膝蓋骨脱臼 反復性膝蓋骨脱臼の症状は,膝蓋骨がはずれやすいためにおこる運動障害と膝蓋骨の位置異常による膝前面痛です.
太ももに力を入れると脱臼していなくても膝蓋骨は亜脱臼位となるため,力が入りにくく,はずれやすい恐怖感がスポーツ活動の妨げとなります.重度になると軽くひねっただけで膝蓋骨脱臼を起こしたり,階段の下りで転げ落ちそうになるなどの障害が顕著となります.

反復性膝蓋骨脱臼の原因と病態

反復性膝蓋骨脱臼,亜脱臼は,女子中学生のジャンプ系競技の選手に多く見られます.自然に整復されやすく,脱臼したことに気付かないケースがあり,それがかえって何回も脱臼する,習慣性脱臼(反復性膝蓋骨脱臼)や不安定膝の原因になります.
全身の関節が柔らかい人(関節弛緩性)や膝蓋軟骨軟化症と同様,生まれつき膝蓋骨の形の悪い人や膝蓋腱の長い人,膝蓋骨が内側を向いている人(にらめっこ膝)がなりやすい素因を持っているといえます.  上記素因のある人が外傷性膝蓋骨脱臼をおこした後,適切な治療をうけずに反復性脱臼に移行しやすいといえます.

反復性膝蓋骨脱臼の診断と治療

問診,理学所見から診断可能で,レントゲンやMRIの検査をすると,膝蓋骨や大腿骨の形態異常および外側への膝蓋骨亜脱臼(上図レントゲン)を認め,容易に膝蓋骨脱臼・亜脱臼と分かります.膝蓋骨の内側に剥離骨片を認める場合もあります.
治療は大腿四頭筋のストレッチと筋力強化運動に加え,テーピングや再発予防専用のサポーターの着用を心掛ける必要があります.
頻回に脱臼している場合や階段を降りるときも怖さがある等,スポーツや日常生活にも支障をきたしている場合が手術の対象になります.
英文ですが千葉大学整形外科での手術成績(中川,2002)の報告です.