膝蓋骨脱臼・亜脱臼
膝蓋骨脱臼は1回の衝撃ではずれる外傷性脱臼のほか,膝を内側にひねる際外側に膝蓋骨がはずれる傾向の強い反復性脱臼・亜脱臼,常に亜脱臼位にあり,膝をまげると必ず膝蓋骨が真横にはずれていく習慣性脱臼があります.
外傷性膝蓋骨脱臼
外傷性膝蓋骨脱臼はその名のとおり,1回の衝撃で膝蓋骨が脱臼したものをさします.膝を伸ばすと自然に戻る場合も多いものの,膝の関節に血がたまる関節血症の原因の2割を占めます.膝蓋骨や大腿骨の軟骨損傷を伴うことも多く,適切な治療が必要です.
反復性膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼,亜脱臼は,女子中学生のジャンプ系競技の選手に多く見られます.自然に整復しやすく,脱臼したことに気付かないケースがあり,それがかえって何回も脱臼する,習慣性脱臼(反復性膝蓋骨脱臼)や不安定膝の原因になります.
全身の関節が柔らかい人(関節弛緩性)や膝蓋軟骨軟化症と同様,生まれつき膝蓋骨の形の悪い人や膝蓋腱の長い人,膝蓋骨が内側を向いている人(にらめっこ膝)がなりやすい素因を持っているといえます.
上記素因のある人が外傷性膝蓋骨脱臼をおこした後,適切な治療をうけずに反復性脱臼に移行しやすいといえます.
習慣性膝蓋骨脱臼
反復性膝蓋骨脱臼が年に数回はずれるのに対し,習慣性膝蓋骨脱臼は,膝をまげると常に膝蓋骨が真横に脱臼している状態です.膝屈曲位では大腿四頭筋の筋力が効率よく伝わらず,起立時膝を手で支えないと立てない,転びやすいなど運動障害が著明で,先天的要素の強い病態です.