膝離断性骨軟骨炎
膝離断性骨軟骨炎は膝関節の軟骨損傷により膝関節痛,可動域制限をきたす疾患で,若年者に多いスポーツ障害です.治療には運動制限が必須となりますが,初期はレントゲンではわからず,見逃されることが多く,早期のMRIによる正確な診断,広がりの把握が必要です.
膝離断性骨軟骨炎の症状
膝を曲げると痛む.膝が曲がらない.
膝がピンと伸びない(ロッキング).
運動量が増えると痛みが出る.
膝の違和感から可動域制限まで症状は様々です.小学生から高校生まで,若年者に多いものの,成人でもゴルフのスイング動作などで受傷することがあります.
膝離断性骨軟骨炎の原因と病態
成長期の骨.軟骨は柔らかく,激しい運動に耐え切れず,破壊されることが原因です.関節表面の軟骨が,下で支えている軟骨下骨とともに亀裂が入り,痛みや不快感を生じます.骨からはがれると遊離体となって関節内を動き回るため,関節ねずみといわれ,膝のロッキングを起こすこともあります.
10代の男性に多く見られ,男女比は2:1.膝離断性骨軟骨炎は大腿骨の内側に発生するものが90%で,これはスポーツにおける膝を内側にひねる動作でせん断力(スイカ割の原理)が働き,血流障害により大腿骨内顆の疲労骨折を起こし,破断すると考えられています.
膝離断性骨軟骨炎の診断と治療
病歴やスポーツ運動量などを参考に問診や触診などで膝離断性骨軟骨炎が疑われる症例ではMRI検査を行います.膝離断性骨軟骨炎の初期はレントゲン検査ではわからないことが多く(右図),症状が進んでくると軟骨下骨の骨萎縮(骨透亮像)という形で関節面の骨が欠けて見えてきますが,こうなると膝や足関節の場合は完全に運動を休止して,長期間の松葉杖での免荷を必要とします.
膝離断性骨軟骨炎の治療は,成長期で骨軟骨片の安定性がよければ完治(骨癒合)が期待できるので,リハビリを行いながら,定期的に癒合状況を経過観察していきます.リハビリでは局所の血流回復を助け,大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチや筋力強化訓練を行いますが,一番大切なのは日常生活上の注意事項の説明と指導による安静度を守っていただくことです. 膝離断性骨軟骨炎の手術治療は成長期を過ぎて骨癒合が期待できない場合や,離断部骨片が大きく,はがれそうな場合に膝関節鏡を用いた鏡視下手術を行います.手術を行った場合でも数週間の松葉歩行は必須で,離断性骨軟骨炎の予防と早期診断が重要です.
離断性骨軟骨炎リンク
稲毛整形外科 診療日記関節軟骨損傷,離断性骨軟骨炎の治療|膝関節フォーラム で保険診療で軟骨移植ができるようになれば…から4年後の2013年,患者本人の軟骨細胞を体外で培養して移植する「培養軟骨」について、保険適用となりました.
この培養軟骨はジャパン・ティッシュ・エンジニアリングが製造・販売するジャックで,価格は1回の治療あたり208万円.軟骨の欠損した部分が4平方センチ以上の場合が対象となる.高額療養費制度により,患者の負担は10万円ほどになる見込み.