膝外側側副靭帯は他の3本の靭帯に比べ,損傷されることは少ないものの,交通事故などの高エネルギー外傷では,腓骨神経麻痺や後十字靱帯損傷を合併し,重篤な後遺症をもたらすことがあります.
膝外側側副靭帯損傷の症状
膝外側側副靭帯損傷の症状は靭帯が断裂または引き伸ばされて起こす膝外側の痛みに加え,外側半月板周囲の膝の痛み,運動制限を認めます.
靭帯損傷による不安定感も著明で,膝が外れる,膝が抜けるなどの感覚を伴います.
3度の重度損傷では,腓骨神経麻痺による下腿から足先のしびれ,膝窩筋腱領域に広がる膝外側から膝裏にかけての広範な痛みと不安定性を呈します.
膝外側側副靭帯損傷の原因と病態
膝外側側副靭帯は膝が内側にぶれないように抑えている靭帯で,膝を内側からタックルされたり.膝をひねった時断裂します.単独損傷はまれで、後方の関節包を含む,後外側支持機構という領域を含み,交通事故やラグビーのタックルなどで受傷します.
膝外側側副靭帯損傷の診断と治療
膝外側側副靭帯損傷の診断は徒手検査で外側不安定性を認めることで簡単に診断可能ですが,補助検査として,レントゲンによるストレス撮影で重症度を判別することが必要です.
MRI検査では,骨挫傷や軟骨損傷,他の靭帯や半月板損傷などの合併損傷がないか確認します.特に後十字靭帯損傷を合併している場合が多々あるので,中等度以上の不安定性を認める場合はMRI検査は必須です.
膝外側側副靭帯損傷の治療は原則的にはリハビリを中心とした保存療法が原則ですが,重度不安定性を認める場合は,手術も高度な技術が必要とされるので,まずどの部位が障害されているのか,膝専門医の診断が必要となります.
膝後外側複合体(PLC)損傷
膝関節の後外側複合体(PLC,posterolateral complex)は,膝の後外側回旋不安定性を制御する大切な部分で,主に膝の外旋(スクリューホームムーブメント)に関わっています.
膝の外側だけでなく,膝裏にかけて放散する痛みは,膝後外側複合体(PLC)損傷や膝窩筋炎が疑われます.
膝靭帯損傷リンク
日々の診療から診療日記で膝靭帯損傷の症例について紹介しています.
千葉スポーツクリニック 診療日記 [膝痛]