膝オスグッド病

膝オスグッド病は膝蓋腱の下側の脛骨付着部である脛骨結節に牽引力がかかり,痛みを生じる病気です.成長期の男の子に多く,ジャンプの着地やターン動作での痛みがスポーツ活動の障害となります.

膝オスグッド病の症状

オスグッド病 オスグッド病の症状は痛みと変形です.
成長期の男の子に多く,膝の屈伸や階段上り下りでの痛みが特徴です.外見上も膝蓋腱がすねの骨に付着している部分(脛骨結節)が隆起して,当たったり触るだけでも痛みを生じてきます.
成長期を過ぎても脛骨結節の隆起(変形)が残ると,正座時の膝痛が残ったり,剥離骨片によるジャンパー膝と同様の症状が続きます.

膝オスグッド病の原因と病態

成長期は靭帯や腱に比べ,その付着部である骨のほうが脆弱で,激しいスポーツによる牽引力で骨が引き伸ばされて痛みを生じます.特に脛骨の膝蓋腱付着部は成長期では,牽引刺激により骨増殖を繰り返し,数mmから重症例では1cmまで突出してしまいます.ほとんどの症例で両側性に起こり,痛みのため激しい運動ができなくなります.
膝蓋腱に過大な負荷がかかり,成長期においては骨のほうが柔らかいため,引き伸ばされた成長軟骨で骨が増殖,炎症を起こすのがオスグッド病の病態と考えられますが,特に小学校高学年の男子に多いのは,成長期に入ったばかりであることと,運動負荷の割に大腿四頭筋の筋力が弱く,ジャンプの着地や方向転換におけるストップ動作で膝蓋腱に伸張性収縮力が加わり,炎症を起こすものと考えられます.

膝オスグッド病の診断と治療

膝オスグッド病の診断は外見と触診により容易に行えますが,骨端核の分離(剥離骨折)の有無,成長線の状態を確認するためレントゲン検査を行うことがあります.
膝オスグッド病は成長期に起こる一過性の疾患なので,痛みのない範囲でスポーツは許可します.痛みの強い場合は,アイシングによる鎮痛処置を行い,膝蓋腱に負担をかけないようにして大腿四頭筋をストレッチしたり,テーピングをおこないます.
シュラッテルバンドというオスグッド病専用のサポーターも有用ですが,痛みを止めて,従前と同様のスポーツを行うことは要注意で,膝の使い方をアドバイスしたり,練習時間を減らすなどして,負荷を軽減することが必要です.
成長期が終了しても剥離骨折が完治しておらず,強い痛みが残存する症例では,ごくまれに手術(骨片摘出術)となる場合もみられます.