筋膜性腰痛症
腰背筋膜はテントのタープのように腰の表層を覆っているだけでなく，腰椎の棘突起間，骨盤の腸骨稜や仙骨に付着して，弓矢の弦のように腰のアーチを支えています．腰背筋膜のおかげで腰をかがめる，捻るなどの動作を最小の筋収縮で行うことができるのです．
筋膜性腰痛症の症状
いわゆる腰痛症の中で，筋膜性腰痛症がかなりの割合を占めています．筋膜性腰痛症の症状は動作時の腰痛を主体とし，安静をとると軽減します．腰背筋膜は腰部全体を覆っているので，痛みの部位も骨盤の両脇から，仙骨，背部にいたるまで，さまざまです．
筋膜性腰痛症の原因と病態
筋膜性腰痛症は筋疲労や姿勢異常(姿勢性腰痛症，静力学的腰痛症)が原因となります．一方，椎間板変性や変形性脊椎症，腰椎分離・すべり症，骨粗しょう症などの原疾患が基盤にあり，二次的に筋・筋膜性腰痛症を起こしている例も少なくありません．
筋膜性腰痛症の診断と治療
筋膜性腰痛症は除外診断的な要素が多く，腰椎椎間板ヘルニアや分離症を否定しておく必要があります．足のしびれや，筋力低下，坐骨神経痛があれば，MRIなどで他疾患を疑う必要があります．筋・筋膜性腰痛症であれば治療はリハビリや薬物療法が主体となります．再発傾向の強い方は原因の精査と治療が必要です．