腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、背骨の中を通る脊柱管という神経の通り道が狭くなることで、神経や脊髄が圧迫される病気です。これによって腰の痛み、足のしびれや痛み、筋力低下、さらには歩行や排尿に障害が出ることもあります。

主な原因は加齢に伴う骨や靭帯の変性で、中高年に多く見られます。治療法は症状の重さに応じて異なり、運動療法や薬物療法から、場合によっては手術が必要になることもあります。

痛みや不調が気になる場合は、専門医に相談することをおすすめします

腰部脊柱管狭窄症の症状

腰部脊柱管狭窄症の典型的な症状として間欠性跛行足底の感覚異常があります。

間欠性跛行

間欠性跛行(かんけつせいはこう)は、腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状の一つです。この状態は、一定の距離を歩くと、下肢に痛みやしびれが現れて歩行が困難になるものの、少し休むと再び歩けるようになるのが特徴です。進行すると,100m歩いては,立ち止まって休み,2,3分かがんでいるとまた歩ける。の繰り返しになります.押し車(シルバーカーやショッピングカート)につかまって歩けば歩ける。自転車ならどこまででもいける。のも特徴です。

間欠性跛行が起こる原因は、脊柱管の狭窄によって神経や神経の周囲の血流が一時的に遮断されるためです。歩行中や立位の姿勢では脊柱管内の圧力が高まり、神経に負担がかかることで症状が現れますが、座ったり前かがみになると脊柱管が広がり、神経への圧力が軽減するため、痛みやしびれが和らぐことが多いです。シルバーカーを押しているご老人の多くが脊柱管狭窄症で、知らず知らずシルバーカーを押しています。間欠性跛行は下肢の動脈がつまって起こす閉塞性動脈硬化症が原因のこともありますが,前屈位で軽減するようであれば腰部脊柱管狭窄症の可能性が高くなります.

足底の感覚異常

もう一つ、脊柱管狭窄症の典型的な症状が足底の皮膚感覚異常です。感覚異常の感じ方は様々ですが、足の裏にガムテープが張り付いた感じ、とか 冷たい砂利の上をはだしで歩いている感じという表現が多く聞かれます。ウナギを踏んでる感じという人もいました。これらの症状は主に馬尾神経(末梢神経の一部)が圧迫されることで引き起こされます。このような異常感覚があると、歩行の安定性が損なわれ、転倒のリスクが高まることもあります。進行すると夜間尿失禁などの膀胱直腸障害もあらわれます。

腰部脊柱管狭窄症の原因と病態

腰部脊柱管狭窄症は、腰部の脊柱管が狭くなることで、内部を通る神経や脊髄が圧迫される病気です。これにより、腰痛や足の痛み、しびれ、感覚異常などの症状が現れます。

原因 主な原因は、加齢による椎間板の変性や後方の靭帯(黄色靭帯)の肥厚、椎間関節の変形によるものです。また、生まれつき脊柱管が狭い方や、腰椎の変性すべり症などが関与する場合もあります。

病態 この病気には以下の病態が見られます:

  • 馬尾型: 馬尾神経が圧迫されることで、両下肢の痺れや脱力感などが現れる。
  • 神経根型: 神経根が圧迫され、一方の足に痛みや痺れが現れる。
  • 混合型: 馬尾神経と神経根が同時に圧迫され、複合的な症状が出る。

さらに、間欠性跛行(一定距離を歩くと下肢が痛み、休むと緩和する)や、前かがみで症状が軽減する特徴があります。これらは、神経の血流障害と関係しています。

腰部脊柱管狭窄症の診断と治療

診断方法

  1. 問診と身体診察:
    • 腰痛や下肢の痛み、しびれなどの症状の有無やその部位、範囲を確認します。
    • 特徴的な間欠性跛行や、前屈で症状が改善するかなども重要なポイントです。
    • 筋力低下や感覚異常の有無を評価します。
  2. 画像検査:
    • X線検査: 骨の変形やすべり症の確認。
    • MRI検査: 脊柱管内の神経圧迫の有無や重症度を評価するのに最も有用。
    • CT検査: 骨の構造や形態異常の詳細な確認。
  3. 脊髄造影検査:
    • MRIだけで十分でない場合や術前評価で用いられることがあります。

治療方法

治療は症状の程度や患者さんの状態によって異なります:

  1. 保存療法:
    • 薬物療法: 消炎鎮痛剤や血流改善薬、神経鎮静薬などを使用。
    • 運動療法: 腰への負担を軽減するストレッチや体操。
    • 装具療法: 前屈位を保てるコルセットやシルバーカーが使用されることも。
  2. 神経ブロック療法:
    • 局所麻酔薬やステロイドを神経周囲に注入し、痛みを軽減。
  3. 手術療法:
    • 保存療法で改善しない場合や、重症のケースに適応。
    • 除圧術: 圧迫されている部分を除去して神経のスペースを広げる。
    • 固定術: 不安定性がある場合に金属スクリューなどで脊椎を固定。

生活に支障を感じる場合、早めの専門医の診察を受けることで適切な治療を受けることが可能です。

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