頚椎圧迫骨折

頚椎圧迫骨折はラグビーやアメフトなどのコンタクトスポーツだけでなく,浅いプールでの飛び込み,体育の授業で行う倒立前転やプロレスごっこなど,身近なところでも起こします.重度の場合,手足が動かなくなる脊髄損傷の原因となります.

頚椎圧迫骨折について

頚椎圧迫骨折

頭と首を支えている頚椎は,胸椎や腰椎に比べ動く範囲(可動域)が格段に広く,このこと(柳腰ならぬ柳首?)が幸いして,交通事故や落下事故でも骨折を起こすことは少なく,むち打ちや胸腰椎の圧迫骨折を起こします.しかし,首に全体重がかかり過屈曲すると,頚椎でも圧迫骨折を起こす事があります.

頚椎圧迫骨折の症状

頚椎圧迫骨折だけで,後方の脊髄に損傷がなければ,首の痛みが主症状となり,二次的に痛みによる可動域制限をきたします.頚椎の前方部分には神経や食道,気管があり,のどや首の付け根の違和感を生じることもあります.

頚椎圧迫骨折の原因と病態

頚椎圧迫骨折の原因は,首が強く前に屈曲されることで,てこの力で椎体の前方部分が圧迫されて骨折を起こします.
椎体の後方部分が保たれていれば,手のしびれや痛みを伴うことはありませんが,椎体後方にある脊髄も脳振盪のように揺さぶられることで,中心性脊髄損傷,前部損傷(痛覚・温覚脱出・触覚残存),brown-sequard症候群(脊髄半側傷害)などを起こしていることも少なくありません.

頚椎圧迫骨折の診断と治療

頚椎圧迫骨折でも軽度のものであればレントゲンでわからないこともあり,診察による理学所見のほかに,MRIで骨挫傷を認めれば確定診断となります.圧潰されているものはレントゲンで簡単に判別でき,後方部分まで骨傷が及んでいるかどうか,前後屈撮影で不安定性の有無を慎重に検討する必要があります
神経症状がなく,程度の軽いもの,単純な骨折で関節突起や後方部分が健在であれば安定損傷であり,おおむね保存療法が適応となります.頚椎粉砕骨折や脱臼がある場合は不安定損傷で,不用意に頸椎を動かすと脊髄に二次損傷を与えるので,頭蓋直達牽引のままで専門施設に移送します.