膝裏の痛み1-膝窩筋について|稲毛整形外科

膝窩筋は、膝関節の屈曲と内旋に作用する筋肉で、膝関節の安定性や半月板の保護に重要な役割を果たしています。しかし、この筋肉はしばしば過度に緊張したり、炎症を起こしたりすることがあります。その結果、膝関節の屈曲・伸展制限や痛みを引き起こすことがあります。特に正座やしゃがむなどの動作で膝裏の痛みが増す場合は、注意が必要です。また、膝窩筋の機能不全により足関節背屈時に腓骨拳上を制限し、足関節背屈制限にもなりえます。

膝窩筋は、大腿骨の外側顆から起こり、その停止はヒラメ筋線より近位の脛骨後面です。膝窩筋は膝窩の底をなしており、腓腹筋頭および血管、神経に覆われています。膝窩筋の支配神経は脛骨神経(L5-S2)です。

膝窩筋の主な作用は、膝関節における屈曲と内旋です。立位で体重を支えている下肢においては、脛骨に対する大腿骨の外旋をもたらします。後者の場合は、体重を支えて伸展している膝関節を屈曲し始めるのが膝窩筋作用であり、これにより緊張した膝関節靱帯が緩められます(膝関節の固定解除)。また、膝窩筋の一部が外側半月に付着している関係上、膝窩筋の収縮は外側半月板を膝関節屈曲初期に後方へ引く役割も果たしています。

膝窩筋腱の機能は、膝窩筋の作用を伝達することです。具体的には、以下のような機能があります。

  • 膝関節を屈曲させることで、歩行や走行などの動作を可能にする。
  • 膝関節を内旋させることで、足首や股関節と連動して方向転換や回旋などの動作を可能にする。
  • 膝関節が伸展した状態から屈曲し始める際に、膝関節靱帯を緩めることで、関節の可動域を確保する。
  • 膝関節が屈曲した状態から伸展し始める際に、外側半月板を後方へ引くことで、半月板の損傷を防ぐ。

膝窩筋の役割を理解し、適切なストレッチやマッサージを行うことで、下肢の機能や健康を向上させることができます。

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