成長期の子供の腰痛で,代表的な腰椎分離症の発生率は5%と,比較的多く,1クラスに2,3人はいる計算になります.
特に,激しいスポーツを行う中学生によくみられ,野球やテニス,バレーボールなどでは利き腕の反対側の腰椎分離症がおおく,原因は主に捻りの動作による疲労骨折と考えられています.一夫バスケットボールやサッカーでは特に左右差はなく,その活動量と体幹の柔軟性も関係しています.
私が医学生として整形外科を学んだ30年前は先天性と教えられており,痛みのない範囲でスポーツ活動を許可するように指導していました.今考えると,終末期の何mmも離れてしまった分離部を見て,先天性という説に落ち着いていたのだと思います.
大学の医局を出るころには,腰椎分離症は疲労骨折というコンセンサスが出来上がっており,その進行度に応じて,分離症初期では分離部の骨癒合,いわゆる完全治癒をめざして,半年間の硬性コルセット着用と運動禁止を行うことになってきました.
小学校高学年で発症した腰椎分離症はこの治療法で骨癒合率90%とかなり治癒率が高いのですが,小学生で分離症をおこす子供はスポーツに熱心なご両親が非常に多く,子供を説得する以上に,ご両親の理解を得るのが大切になります.