間欠性跛行|腹部大動脈瘤

腹部大動脈瘤日日寒さも和らぎ,外出時,寒さに頚腰に力を入れることも少なくなりました.冬場,症状が悪化していた脊柱管狭窄症の患者さんも間欠性跛行の症状が軽くなるケースも多々見られます.

間欠性跛行とは,歩いているうちに足の痛みが強くなり,足を引きずって歩くようになるものの,立ち止まって休むとまた歩けるようになる症状をいいます.

程度により,休まずに歩ける距離はさまざまですが,進行すると,30mごとに休まないと歩けなくなることもあります.

間欠性跛行の原因は神経性と血管性の2つ.脊柱管狭窄症により,背骨の中を通っている脊髄が圧迫されて起こす間欠性跛行と閉塞性動脈硬化症により足に行く血管がつまりおこす間欠性跛行があります.前者も正確には脊髄に行く血管が圧迫されて痛みを起こすので血流不足による痛みですが,脊髄が圧迫されて痛みを起こす脊柱管狭窄症の場合は腰を曲げて歩くと症状が改善したり,春先になると症状が軽くなるのに対して,下肢の血管が詰まっている場合は,体位,季節に関係なく痛みを生じます.

右上図は腹部大動脈瘤により間欠性跛行を呈した患者さんの腰椎側面のMRI画像です.通常直径20mm以下の大血管が太い部分で35mmほどに紡錘形に膨らんでいました.通常は腹部大動脈瘤で間欠性跛行を起こすことはありませんが,両足に分岐する部分まで動脈瘤が広がると分岐部で足に行く血管が詰まり,間欠性跛行を呈します.MR読影時は(整形外科という職業柄?)いつも背中側から見ているので,こんなに大きくはっきり映っている腹部の大動脈瘤を危うく見逃すところでした.(はっきり見えない場合は画像リンク先の黄矢印ご参照ください)