書痙とは、文字を書くときに手がふるえたりこわばったりして、書字が困難になる症状です。書痙は、神経症や心身症の一種と考えられる場合もありますが、最近の研究では、脳の運動制御に関係する部位の異常が原因であるという説が有力です。この場合、書痙はジストニアという不随意運動の一種とされます。
書痙は、字を書くことを仕事にしている人や、人前で書くことに緊張する人に多くみられます。特に20代から40代の男性に発症しやすいといわれています。書痙の症状は、手の震えやこわばりだけでなく、声や顔のひきつりなども起こります。また、リラックスしている時でも症状が出る場合もあります。
書痙の治療法は、原因によって異なります。薬物治療や精神療法は、精神的な要因が強い場合に有効ですが、根本的な解決にはなりません。ボツリヌス毒素治療は、筋肉を麻痺させてふるえやこわばりを抑える方法ですが、効果は一時的です。手術治療は、脳内の異常な部位を凝固させて運動制御を正常化する方法ですが、リスクも高いです。
書痙は、脳や神経の専門医である神経内科や脳神経外科で診断や治療を受けることができます。自分で原因や治療法を判断するのではなく、専門医の指示に従うことが大切です。また、日常生活でのストレスや過度な負担を減らすことも、書痙の予防や改善に役立ちます。