鵞足炎は主にランニングにより発症するスポーツ障害ですが,サッカーやバスケットでも多発します.ひざの内側のすねの骨の上部の痛みで,MRIで疲労骨折などと鑑別する必要があります.
鵞足(がそく)は縫工筋(ほうこうきん)・薄筋(はっきん)・半腱様筋(はんけんようきん)の3つの腱がすねの骨(脛骨)の上部に付着している部分で,その外見がガチョウの足のように広がって骨に張り付いているように見られることから,鵞足と呼ばれています.
鵞足炎の原因と病態
膝の屈伸運動を繰り返すことによって大腿内側の腱が脛骨の骨隆起(脛骨内顆)とこすれて炎症を起こし,膝痛が発生します.主因はオーバーユースですが,走行距離,時間に加え,筋力,フォーム,柔軟性,靴,X脚など,さまざまな要因があります.
鵞足炎の診断と治療
脛骨内顆周辺の圧痛を認め,半腱様筋腱の走行に沿って疼痛が認められれば鵞足炎を疑います.鵞足部周辺の痛みには脛骨内顆部の疲労骨折も同様の症状を呈するため,経過の長い場合や痛みの強い症例ではMRI検査で疲労骨折や骨腫瘍の骨病変を除外する必要があります.
鵞足炎は保存療法が原則.第1に局所の安静が重要です.原因があればそれに対する対策を講じ,改善が見られなければランニングを休止します.患部のストレッチ,アイシング,さらに消炎鎮痛剤の投与や,超音波などの物理療法を行います.
脛骨内顆疲労骨折
鵞足炎と言われたものの,膝の外側だけでなく,膝裏にかけて放散する痛みは,脛骨内顆疲労骨折や骨腫瘍が疑われます.走り始めは痛くないものの,距離を重ねるにしたがって増強する膝の痛み,一旦膝痛がなくなっても再発する場合は要注意です.