膝の半月板は通常三日月型(半月型ではない!)をしていますが,先天性に半月型をしていて上下の骨に挟まりやすい構造をしている場合があり,成長期に激しいスポーツをすると,膝の伸展制限や運動後の膝痛の原因となります.
膝円板状半月板の症状
膝を捻ってから引っかかる.
一日歩いたり運動したりすると痛みが出る.
膝を曲げると痛む.
曲がったまま伸びない(ロッキング).
バキバキ音がする.
キャッとするなど違和感から疼痛まで症状は様々です.MRIにより簡単に診断できます.
小児の夜鳴きや,運動しすぎると痛がる幼小児期の膝には半月板の障害が関与していることがあります.
膝円板状半月板の原因と病態
半月板は大腿骨と脛骨の間にあり,膝の動きをスムーズにします(関節安定機能).また,クッションの役割もあり、一部に大きな負担がかかることを防ぎます(荷重分散機能).
関節安定機能
膝関節は顆状関節であり骨性適合は良好でないため,十字靭帯や側副靭帯に代表される靭帯性組織が発達し,primary stabilizerとして関節の安定性を維持しています.したがって,正常の膝関節では半月板が膝関節の安定性に大きく関与することはありませんが,靭帯機能が低下した場合にはsecondary stabilizerとして関節安定性に寄与すると考えられています.
前十字靱帯不全損傷があり,前十字靭帯再建術を行わず,痛みをとるために半月板切除術だけをすると,今まで明らかでなかった膝の不安定性が出ることがよくあります.
荷重分散機能
膝関節においては,丸い大腿骨と平らな脛骨の接触面はごく一部分に限られています.半月板が介在することで,接触面積は飛躍的に増大させて,荷重分散機能を果たしています.膝関節に加わる荷重のうち50~70%が半月板を介して伝達されていると言われてます.
円板状半月板では,その荷重分散機能が損なわれるため,特に中高年の内側円板状半月板では数年から数十年後に高率に変形性膝関節症に移行することが知られています.
膝円板状半月板の診断と治療
MRI検査の円板状半月板の診断精度は95%といわれており,なかなかなおらない膝痛の診断には必須の検査です.MRI検査では,断層写真をもとに,円板状半月板の形態と損傷程度がわかるので,治療方法の選択に非常に有用です.
半月板は上下の骨に挟まれ,常に体重がかかっているため,一旦損傷すると治り難く,再発しやすい軟骨組織です.自然治癒が期待できる辺縁部での円板状半月板では,日常生活上の注意事項の指導とリハビリテーション(大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチや筋力強化訓練)を行います.大きく切れたときやロッキングを繰り返す場合は,内視鏡(膝関節鏡)を入れて鏡視下半月板部分切除術または半月板縫合術を行います.
膝円板状半月板リンク
日々の診療から膝円板状半月板の症例について紹介しています.