膝をひねったけど,レントゲンで異常なしといわれて一安心? 靭帯・半月板はレントゲンで写りません.膝専門医の診断が必要です!
膝内側側副靭帯損傷の症状
膝内側側副靭帯損傷の症状は外傷をきっかけに出現した膝の内側の痛みと不安定感,ぐらつき,膝崩れ症状など.
膝の内側の痛みは関節面よりも上の大腿骨側の骨の出っ張り部分で内側側副靭帯が大腿骨に付着している部分の圧痛が著明です.内側半月板損傷による膝の痛みも同部位に近接しているのでわからなければ膝専門医の診断を仰いでください.
膝の不安定感,ぐらつき感は内側側副靭帯損傷の2度から3度の中等症から重症例で明らかで,歩行中に外れそうになったり,踏ん張りがきかなくなったりするので,スポーツ活動の障害となります.
膝崩れ症状(giving way)は膝前十字靭帯損傷によるものですが,前十字靭帯損傷が軽度で,内側側副靭帯損傷が主症状の場合も数多く見られます. その他,内側側副靭帯損傷は半月板損傷や骨軟骨損傷を合併している場合も多く,合併損傷による膝痛,不安定感,可動域制限,運動機能障害を認めます.
膝内側側副靭帯損傷の原因と病態
内側側副靭帯は膝が外側にぶれないように抑えている靭帯で,外側からタックルされたり,膝を内側にひねった時断裂します.軽い外傷では単独損傷ですが,重度不安定性がある場合は前十字靭帯損傷や内側半月板損傷を合併している可能性があります.
膝内側側副靭帯損傷の診断と治療
診断は徒手検査で外反動揺性を認めることで簡単に診断可能ですが,補助検査として,レントゲンによるストレス撮影が有用です.MRI検査では内側側副靭帯の断裂像(上図黄矢印)を直接確認できることに加え,他の合併損傷がないかを確認するため必須の検査です.前十字靭帯損傷や半月板損傷を合併している場合が多々あるので,中等度以上の外側不安定性を認める場合はMRI検査は必須です.
上図MRIの症例では右側黄矢印の内側側副靭帯損傷に加え,左側の緑の矢印で示される,骨の中の出血を認め,骨挫傷(骨の中の打撲)も認めます.
膝内側側副靭帯損傷の治療は保存療法が原則です.単独損傷については,受傷早期からのリハビリと,テーピングや内側側副靭帯用サポーターの装着でほとんどの場合,治癒し,スポーツ復帰が可能です.しかし,前後十字靭帯損傷を合併している場合や陳旧例では,靭帯縫合術や靭帯再建術の手術が必要なこともあります.
膝靭帯損傷リンク
日々の診療から診療日記で膝内側側副靭帯損傷の症例について紹介しています.
千葉スポーツクリニック 診療日記 [膝痛]