膝関節は,4本の靭帯で支えられています.前十字靭帯と後十字靭帯は膝の前後方向の安定を保ちながら,屈伸をスムースに行います.内側側副靭帯と外側側副靭帯は横方向の安定性に寄与しており,膝を横にぶれないように固定しています.
膝の靭帯だけに体重の3倍程度の外力が加わると,靭帯は損傷,断裂を起こし,膝の痛みのほか,膝不安定性による様々な運動機能の障害をもたらします.
膝前十字靭帯損傷
膝前十字靱帯は膝を内側に捻ったり,人との衝突で断裂します.受傷直後から,膝に力が入らなくなり,歩行不能となり,数時間で膝が曲げられなくなってきます.
膝後十字靭帯損傷
膝後十字靭帯は,歩行中転倒し,すねをぶつけて靭帯損傷を起こす場合がもっとも多く,起立時や,階段下りでの膝痛の原因となります.
膝内側側副靭帯損傷
内側側副靭帯は膝が外側にぶれないように抑えている靭帯で,膝周辺を外側からタックルされたり、膝を内側にひねった時に受傷します.
膝外側側副靭帯損傷
外側側副靭帯は他の3本の靭帯に比べ,損傷されることは少ないものの,交通事故などの高エネルギー外傷では,腓骨神経麻痺や後十字靱帯損傷を合併し,重篤な後遺症をもたらすことがあります.
不幸の三徴候(unhappy triad)
膝を捻挫する際は,それぞれの組織が単独で損傷するわけではなく,○○損傷という病名をつけるほどではないものの,少なからず他の組織もダメージを受けていると考えられます.
重度の膝捻挫では,明らかにそれぞれが損傷されており,膝十字靱帯損傷,内側側副靱帯損傷,内側半月板損傷の合併は予後不良のサインとされています.典型例はつま先が体の外側に残ったまま膝が内側に入って膝を捻った際に受傷します.
膝前十字靭帯損傷リンク
日々の診療から診療日記で膝前十字靭帯損傷の症例について紹介しています.