女性ランナーの股関節痛(鼠径部痛)の原因のひとつに恥骨下枝疲労骨折があります.
長時間のランニングでは骨盤への繰り返しのストレスにより,あらゆる部位に疲労骨折を生じます.女性ランナーの疲労骨折は会陰部の恥骨下肢に多く認められ,内股や下腹部に放散痛を生じ,走行不能となります.
恥骨下肢には大内転筋が付着しており,着地から蹴り出し期にかけて,大臀筋の股関節に対する外旋作用を打ち消しています.このバランスが崩れると,骨にストレスがかかり,疲労骨折を起こします.
若い女性ランナーに多いのは,貧血,ダイエット,ホルモン異常による生理不順や無月経,骨密度の低下などが基盤にあると考えられています.(David Klossner,2000)
早期の診断には骨シンチグラフィーやMRIが有効で,レントゲンでは異常なしとされる場合も多く見られます.治療は骨折が治癒するまで運動を制限する必要があり,数ヶ月間を要します. .
スクワットで膝関節を伸展していく際に,膝が内側に入ってしまう方や,ランニングで膝が内側を向いてしまう方(いわゆる女の子走り)は,内転筋と大殿筋とのバランスが乱れていることが考えられます.