突き指

突き指とは

末節骨骨折

 突き指とは、指先に強い力が加わって指の関節や靭帯、腱、骨などを損傷する外傷のことです。スポーツや日常生活でよく起こりますが、放置すると指の変形や可動域の低下などの後遺症を引き起こす可能性があります。突き指の症状は、痛み、腫れ、内出血、関節の動きの制限などです。重度の場合は、関節が脱臼したり、骨折したりすることもあります。突き指の対処法は、まずは患部を冷やして腫れを抑えることです。次にテーピングや添え木などで固定して安静にすることです。痛みや腫れが長く続く場合や、指が曲がったり動かせなかったりする場合は、整形外科を受診してください。レントゲンやCTで骨折や脱臼の有無を確認し、必要に応じて手術やギプス固定などの治療を行います。突き指は軽い怪我と思われがちですが、早めに適切な処置をすることが大切です。

末節骨剥離骨折

ただの突き指と思っていると剥離骨折が後で明らかとなる場合が少なくありません.末節骨剥離骨折とは、指先の末節骨と呼ばれる骨の一部が、靭帯や腱に引っ張られて剥がれるように折れる骨折のことです。末節骨剥離骨折は、スポーツや日常生活での事故などによって起こります。末節骨剥離骨折の症状は、激しい痛み、腫れ、内出血、感覚障害などです。末節骨剥離骨折の診断は、レントゲンやMRIなどの画像検査で行われます。末節骨剥離骨折の治療法は、剥がれた骨片の大きさや位置によって異なります。小さくてずれていない場合は、固定や湿布などの保存的治療で治ります。大きくてずれている場合は、手術で骨片を固定する必要があります。末節骨剥離骨折は、早期に適切な治療を受けることで、完治する可能性が高くなります。(右図)

指伸筋腱断裂

第一関節から先の指が自力で伸ばせない場合は,伸筋腱損傷または末節骨付着部での剥離骨折が疑われます.

指伸筋腱断裂とは、手の指を伸ばすために必要な腱が切れてしまう状態です。指伸筋腱断裂は、外傷や関節リウマチなどの病気によって引き起こされることがあります。指伸筋腱断裂が起こると、指の動きが制限されたり、変形したりすることで日常生活に支障をきたします。

指伸筋腱断裂の原因としては、以下のようなものがあります。

  • 鋭利な刃物やガラスなどで手を切るなどの開放性損傷
  • 突き指やスポーツなどで手を強くひねるなどの閉鎖性損傷
  • 関節リウマチや橈骨遠位端骨折などで腱に炎症や摩耗が起こるなどの病的断裂

指伸筋腱断裂の症状としては、以下のようなものがあります。

  • 指が曲がったまま伸ばせなくなる
  • 指が反り返ったり曲がったりする変形
  • 指に痛みや腫れが生じる
  • 指の力が弱くなる

指伸筋腱断裂の診断は、問診や視診、触診によって行われます。また、レントゲンやMRIなどの画像検査で骨折や腱の状態を確認します。

指伸筋腱断裂の治療は、主に手術によって行われます。手術では、切れた腱を縫合したり、他の部位から移植したりします。手術後は、固定やリハビリテーションを行って指の機能を回復させます。

(伸筋腱については腱鞘炎の項参照)

マレット変形

マレット変形とは、指の関節が変形してマレット(ハンマー)のように見える状態のことです。マレット変形は、指の末節骨が曲がってしまうことで起こります。指の末節骨は、指の先端にある小さな骨で、指の爪を支えています。指の末節骨が曲がる原因は、主に以下の2つです。

  • 外傷:指を強くぶつけたり、挟んだり、引っ張ったりすることで、指の末節骨に亀裂や骨折が生じることがあります。このとき、指の末節骨を伸ばす筋肉や腱が損傷すると、指の末節骨が曲がったまま固定されてしまうことがあります。これを外傷性マレット変形と呼びます。
  • 病気:関節リウマチや糖尿病などの病気によって、指の末節骨や関節に炎症や変形が起こることがあります。このとき、指の末節骨を伸ばす筋肉や腱が弱くなったり、切れたりすると、指の末節骨が曲がったまま固定されてしまうことがあります。これを病的マレット変形と呼びます。

マレット変形は、指の機能や見た目に影響を与える可能性があります。マレット変形を予防するには、以下のことに注意しましょう。

  • 指に負担をかけないようにする:重いものを持ったり、力を入れたりするときは、指をまっすぐに保つようにしましょう。また、指をぶつけたり、挟んだりしないように注意しましょう。
  • 指の血行を良くする:冷えや血行不良は、指の筋肉や腱に悪影響を与える可能性があります。温かいものを飲んだり、手袋をしたりして、指を温めましょう。また、適度な運動やストレッチで、指の血行を促進しましょう。
  • 病気を早期に治療する:関節リウマチや糖尿病などの病気は、放置すると指の変形につながる可能性があります。病気の症状やリスク因子に気づいたら、早めに医師に相談しましょう。

マレット変形は、早期に治療すれば改善する可能性があります。治療法は、原因や程度によって異なりますが、一般的には以下のようなものです。

  • スプリント:スプリントとは、金属やプラスチックなどでできた装具で、指の末節骨を伸ばした状態で固定するものです。

マレット変形の原因には伸筋腱断裂(腱性マレット変形)と末節骨剥離骨折(骨性マレット変形)があり,治療法は同じですが,ギプス固定期間が異ななります。突き指の治療 診療日記 最後まで読んでください|突き指 をご覧ください。

腱性マレット変形の場合は、装具を使って指の第一関節を伸ばした状態に固定します。この装具は、2か月ほど着け続ける必要があります。装具を外すときには、医師の指示に従ってください。骨性マレット変形の場合は、骨折部分を金属で固定する手術が必要になることがあります。手術後は、金属が皮膚から飛び出した状態になるので、傷口の感染に注意してください。

マレット変形は、早期に治療を始めることが重要です。治療を遅らせると、指の変形や機能障害が残る可能性があります。また、治療中は、指のリハビリや運動を行うことで、関節の可動域や筋力を回復させることができます。マレット変形は、適切な治療を行えば、ほとんどの場合に完治します。