手指外傷の応急処置

手指外傷の応急処置について

末節骨骨折

手や指に切り傷やひび割れ、打撲などの外傷を受けることは日常生活でよく起こりますが、放置すると感染症や機能障害の原因になることがあります。そこで、手指外傷の応急処置について説明します。

まず、手指外傷を受けた場合は、出血を止めることが最優先です。出血が多い場合は、傷口を清潔なガーゼや布で押さえて圧迫止血しましょう。出血が少ない場合は、傷口を流水で洗って汚れや異物を除去しましょう。その後、消毒液やヨードチンキなどで消毒し、バンドエイドや絆創膏などで覆って保護しましょう。

次に、手指外傷の重症度に応じて医療機関を受診するかどうかを判断します。以下のような場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 出血が止まらない場合
  • 傷口が深くて骨や腱が見える場合
  • 指先がしびれたり動かせなくなったりする場合
  • 傷口から膿や悪臭が出る場合
  • 創傷後に発熱や頭痛、吐き気などの全身症状が出る場合

これらの場合は、感染症や神経・血管・筋肉・骨・腱などの損傷の可能性があります。適切な治療を受けることで、合併症や機能障害を防ぐことができます。

一方、以下のような場合は、自宅で経過観察をしても大丈夫です。

  • 出血が少なくてすぐに止まる場合
  • 傷口が浅くて汚れや異物がない場合
  • 指先に感覚や運動障害がない場合
  • 創傷後に全身症状が出ない場合

これらの場合は、応急処置をした後は、定期的に傷口の消毒と交換を行いましょう。また、水仕事や汚れたものに触れるときは、ビニール袋や手袋で保護しましょう。通常は数日から数週間で治癒します。

手指外傷はよくあるけれども重要な問題です。応急処置と医療機関の受診判断を正しく行うことで、健康と生活の質を保つことができます。

突き指

ただの突き指と思っていると剥離骨折が後で明らかとなる場合が少なくありません.詳細なレントゲン検査で後遺症を防ぐことができます.

ゴールキーパー母指

スキーヤー拇指ともいわれ,手術が必要になることが多い,靱帯損傷です.

ボクサー骨折

ボクサー骨折とは、拳を握った状態で人や物に強く打ちつけたときに、手のひらの骨である中手骨が折れることを言います。特に小指や薬指の中手骨が骨折しやすく、その場合はナックル(指の関節部分)が沈んだり、指が曲がったりすることがあります。ボクサー骨折は、ボクシングや格闘技などのスポーツで起こることが多いですが、ケンカや事故などでも発生する可能性があります。

ボクサー骨折の症状は、手のひらや手の甲の痛みや腫れ、指の動きの制限などです。また、手を握ったときにナックルが平らになったり、指が回転したりすることもあります。ボクサー骨折の診断は、X線検査で骨折部位や角度を確認します。骨折角度が70度以下であれば、副木やテーピングなどで固定して自然治癒させることができます。しかし、骨折角度が70度以上であったり、指が回転していたりする場合は、手術で骨折部位を固定する必要があります。

ボクサー骨折の予防法としては、拳を握るときには正しい方法でパンチをすることや、グローブなどで手を保護することが重要です。また、ケンカや暴力行為は避けるべきです。ボクサー骨折は、適切な治療を受ければ一般的に良好な予後を示しますが、放置すると変形性関節症や神経障害などの合併症を引き起こす可能性があります。ボクサー骨折になった場合は、早めに医師に相談しましょう。

指伸筋腱損傷について

指伸筋腱損傷とは、手の指を伸ばす筋肉の腱が何らかの原因で切れたり傷ついたりすることです。指伸筋腱損傷は、刃物やガラスなどで指を切ったり、スポーツなどで指を強くぶつけたりすることで起こることが多いです。また、関節リウマチなどの病気で腱が弱くなることも原因になることがあります。

指伸筋腱損傷になると、指が伸ばせなくなったり、曲がったままになったりします。これは、腱が切れてしまうと、筋肉の力が骨に伝わらなくなるからです。指の動きが悪くなると、日常生活に支障をきたすこともあります。例えば、ボタンをかけたり、細かいものをつまんだりすることが困難になるかもしれません。

指伸筋腱損傷の診断は、医師が指の動きや形を見て行います。また、レントゲンやMRIなどの画像検査で骨折や腱の状態を確認することもあります。血液検査で関節リウマチなどの病気がないか調べることも必要です。

指伸筋腱損傷の治療は、腱が切れている場合は手術で腱をつなぎ直す必要があります。手術は早めに行う方が良いですが、ケガから1~2週間以内であれば後からでも可能です。手術後は、指を固定したり、リハビリテーションを行ったりして、指の動きを回復させます。腱が部分的につながっている場合は、手術をせずに固定やリハビリテーションだけで治すこともあります。

指伸筋腱損傷は、早めに適切な治療を受けることで、指の動きや形を改善することができます。しかし、放置すると指の変形や機能障害を残すこともありますので注意が必要です。手や指にケガをした場合は、整形外科や手外科に受診してください。

指屈筋腱損傷

指屈筋腱損傷とは、指の曲げる力をつかさどる指屈筋という筋肉の腱が切れたり、引きちぎられたりすることです。指屈筋腱損傷は、手の外傷や切り傷などによって起こることが多く、指の動きに重大な影響を及ぼします。指屈筋腱損傷の症状は、指の曲げる力の低下や痛み、腫れ、出血などです。指屈筋腱損傷の診断は、医師による問診や触診、レントゲンや超音波などの画像検査で行われます。指屈筋腱損傷の治療は、腱の修復を目的とした手術が必要な場合が多く、手術後はリハビリテーションが重要です。指屈筋腱損傷は、早期に適切な治療を受けることで、指の機能回復が期待できます。