肩関節不安定症について
肩関節不安定症(ルーズショルダー)とは、肩関節の上腕骨頭と肩甲骨関節窩の位置関係が正常に保たれない状態のことです。肩関節は人体で最も可動域が広い関節ですが、その反面、不安定になりやすいという欠点があります。肩関節の安定性は、骨の形態や靭帯、関節唇、筋肉などの軟部組織によって支えられていますが、これらの構造に何らかの障害が生じると、肩関節不安定症を引き起こす可能性があります。
肩関節は脱臼しなければ,痛みはないものの,スポーツには障害となります.重症化,慢性化すると反復性肩関節脱臼をおこし,脱臼傾向の強い患者さんは手術療法が選択されることもあり,専門医の診察が必要です。
肩関節不安定症の病態
肩関節不安定症には、外傷性と非外傷性の2つのタイプがあります。外傷性は、スポーツや事故などで肩関節が脱臼や亜脱臼を起こしたことで、関節唇や靭帯が損傷し、上腕骨頭が関節窩からずれやすくなるものです。非外傷性は、先天的に関節包や靭帯が弛緩している場合や、筋力不足や姿勢不良などで筋肉のバランスが崩れた場合に起こるものです。
肩関節不安定症の症状
肩関節不安定症の症状は、肩の痛みや違和感、不安定感、脱臼や亜脱臼を繰り返すことなどです。特に肩を横に挙げて外に回す動作(外転外旋)で前方に押し出されるような感覚(アプリヘンジョン)を感じることが多いです。また、上方や後方への不安定性もあります。肩関節不安定症は、日常生活やスポーツなどで大きな制限を受けることがあります。
肩関節不安定症の診断
肩関節不安定症の診断は、医師による問診や徒手検査で行われます。また、レントゲンやMRIなどの画像診断も行われることがあります。画像診断では、骨の形態や位置関係、軟部組織の損傷や変化などを確認することができます。
肩関節不安定症の治療法
肩関節不安定症の治療法は、理学療法や手術などがあります。理学療法では、運動療法や徒手療法などで肩関節周囲の筋力や柔軟性を向上させたり、姿勢や動作指導を行ったりします。手術では、関節鏡下で関節唇や靭帯を修復したり、骨を削ったりすることで肩関節の安定性を高めます。治療法は個々の状態に応じて選択されます。