反復性肩関節脱臼|稲毛整形外科

反復性肩関節脱臼とは、一度肩関節が脱臼した後に、再び同じ方向に脱臼しやすくなる状態のことです。肩関節は、上腕骨の頭と肩甲骨の窩というくぼみが結合してできており、周囲の靭帯や筋肉で安定しています。しかし、強い衝撃や外力が加わると、上腕骨の頭が窩から外れてしまうことがあります。これが初めて起こる場合は、原発性肩関節脱臼と呼ばれます。原発性肩関節脱臼の治療は、まずは整復(上腕骨の頭を窩に戻すこと)を行い、その後は固定やリハビリテーションを行います。しかし、一度脱臼した肩関節は、靭帯や筋肉が損傷したり、窩が浅くなったりすることで、安定性が低下します。そのため、同じ方向に再び脱臼する可能性が高くなります。これを反復性肩関節脱臼と呼びます。反復性肩関節脱臼の治療は、原発性肩関節脱臼と同様に整復や固定を行いますが、それだけでは再発を防ぐことができません。そのため、手術を行って靭帯や筋肉を修復したり、窩を深くしたりすることが必要になる場合があります。反復性肩関節脱臼は、日常生活やスポーツなどに大きな影響を及ぼすことがあります。早期に適切な治療を受けることで、再発のリスクを減らし、肩関節の機能を回復することができます。

反復性肩関節脱臼の症状

反復性肩関節脱臼の症状は、以下のようなものです。

  • 肩関節の痛みや違和感
  • 肩関節の可動域の制限
  • 肩関節の形態の変化(突出やくぼみなど)
  • 肩関節の不安定感(ずれる感じや外れそうな感じ)
  • 肘から手先までのしびれや冷感

反復性肩関節脱臼の原因と病態

反復性肩関節脱臼の原因は、主に以下の2つに分けられます。

  • 外傷性:最初の脱臼が外傷によって引き起こされた場合。スポーツや交通事故などで肩に強い衝撃を受けたり、手を伸ばして転倒したりすると起こります。この場合、前方に脱臼することが多く、靭帯や筋肉だけでなく、上腕骨の頭や肩甲骨の窩にも骨折や損傷が生じることがあります。
  • 先天性:最初の脱臼が外傷以外の原因で起こった場合。先天的に肩関節の形成が不完全であったり、靭帯や筋肉が弛緩していたりすると起こります。この場合、後方や下方に脱臼することが多く、日常生活での無意識な動作でも脱臼することがあります。

肩関節が十分な機能を発揮するためには肩関節包,腱板,滑液包,三角筋などの軟部組織の協調運動が必要です.したがって肩関節包,腱板,滑液包,三角筋により構成される肩関節の滑走機構のいずれに障害が発生しても肩機能には障害が発生します.
反復性肩関節脱臼は, 生まれつき関節のゆるい若い女性に多く認められますが,男性でも,初回肩関節脱臼後の治療が不適切であれば,再発傾向が強くなることがあります.
肩関節不安定症(ルーズショルダー)は野球選手,特に肩を酷使する投手に多く見られます.靭帯や関節包が一旦ある程度まで伸びてしまうと,自然に元の長さに戻ることはなく,有効な治療法が少ないのが現状です.

反復性肩関節脱臼の原因としては、以下のようなものがあります。

  • 初回の脱臼時に重度の組織損傷を受けた場合
  • 初回の脱臼時に適切な治療を受けなかった場合
  • 初回の脱臼時に若年だった場合
  • 肩関節に過度な負荷をかけるスポーツや職業をしている場合
  • 先天的に肩関節の形成が不良だった場合

反復性肩関節脱臼の診断と治療

反復性肩関節脱臼の診断は、主に以下の方法で行われます。

  • 問診:最初の脱臼の原因や回数、症状などを聞きます。
  • 視診:肩関節の形態や可動域を確認します。
  • 触診:肩関節を触って痛みや不安定感を評価します。
  • 画像検査:レントゲンやMRIなどで骨や組織の損傷を調べます。

反復性肩関節脱臼は、痛みや可動域の制限だけでなく、日常生活や仕事にも支障をきたす可能性があります。また、繰り返すごとに組織損傷が進行し、骨や神経にも影響を及ぼす恐れがあります。そのため、早期に専門医の診察を受けることが重要です。

治療法としては、保存的治療と手術的治療があります。保存的治療では、固定具やリハビリテーションで肩関節の安定性を高めることを目的とします。手術的治療では、靭帯や筋肉などの損傷した組織を修復したり、人工的に肩関節を強化したりすることで、再発を防ぐことを目的とします。治療法の選択は、患者の年齢や活動レベル、脱臼回数や方向、組織損傷の程度などによって異なります。医師と相談して最適な治療法を決めましょう。