肩関節上方関節唇損傷(SLAP損傷)

肩関節上方関節唇損傷(SLAP損傷)

肩関節上方関節唇損傷(SLAP損傷)MRI像

肩関節上方関節唇損傷(SLAP損傷)は楽天の田中将大投手,スケートの安藤美姫選手の肩関節痛の原因となった事でも知られている,比較的多く見られる肩のスポーツ障害です。

SLAP損傷とは、肩関節の上部にある軟骨の縁が剥がれることで起こる肩の痛みや不安定感の原因の一つです。SLAPは「Superior Labrum Anterior to Posterior」の略で、上部軟骨の前から後ろまでの損傷を表します。SLAP損傷は、肩関節を強く引っ張ったり、肩を高く挙げたり、投球動作を繰り返したりすることで発生することが多いです。

投球動作時,肩関節前方に痛みがあるときは肩関節上方関節唇損傷(SLAP損傷)・上腕二頭筋腱損傷や肩腱板損傷,肩関節前方不安定症が疑われます。投球フォームや各投球フェーズでの痛みをチェックすることにより,損傷部位を推定し,MRI検査で診断を確定します。

肩関節上方関節唇損傷・上腕二頭筋腱損傷の症状

肩関節上方関節唇損傷(SLAP損傷)では投球動作のコッキング期(振りかぶった状態)からアクセレレーション期(ボールを離す前まで)に痛みが生じます。上腕二頭筋長頭腱にはボールリリース,フォロースルー期において牽引張力が加わり,腱の付着部からきれたり,上腕骨頭の溝で擦り切れるて断裂することもあります。

肩関節上方関節唇損傷・上腕二頭筋腱損傷の原因と病態

肩関節が十分な機能を発揮するためには肩関節包,腱板,滑液包,三角筋などの軟部組織の協調運動が必要です。したがって肩関節包,腱板,滑液包,三角筋により構成される肩関節の滑走機構のいずれに障害が発生しても肩機能には障害が発生します。
肩関節唇は膝半月板と同じく,関節の動きをスムースに誘導する役割と,骨同士がぶつかる衝撃を和らげる働きをしていますが,度重なる外力(主に圧迫力)により,断裂します.一方関節唇の前方を通る上腕二頭筋長頭腱は二頭筋収縮時に牽引力が加わり,さらに上腕骨頭で角度を変えるため,溝(上腕骨二頭筋腱溝)で擦り切れていきます。

肩関節上方関節唇損傷・上腕二頭筋腱損傷の診断と治療

SLAP損傷の診断は、症状や検査所見だけではなく、MRIや関節鏡検査などの画像診断も必要です。投球フォームや各投球フェーズでの痛みをチェックすることにより,損傷部位を推定し,MRI検査で診断します。

SLAP損傷のタイプによって治療法が異なりますが、一般的には保存的治療と手術的治療の二つに分けられます。保存的治療では、炎症や痛みを抑えるために薬物療法や物理療法を行います。

主にリハビリテーションで肩関節周辺の筋バランスの修正,体幹バランス訓練などの保存療法を行いますが,MRIで大きな断裂があり,リハビリの効果が上がらない場合,関節鏡視下手術が必要になります。手術的治療では、関節鏡下で軟骨の修復や切除を行います。手術後はリハビリテーションが必要です。

Cuff-Y Exercise

腱板(cuff)の筋機能を再教育・改善することを主目的とし,肩関節疾患において一般的な訓練となっています. 訓練方法は,徒手やチューブによる軽い抵抗,もしくは無抵抗にて外旋や肩甲骨面上の外転などを行い,,腱板の筋活動を向上させます.強すぎる抵抗は大胸筋や三角筋(Outer muscle)に力が入ってしまい,軽い抵抗に反応する腱板(Inner muscle)の働きを阻害してしまうので十分注意する必要があります.