中心性頚髄損傷

中心性頚髄損傷の原因

ラグビーやフットボール等のコンタクトスポーツだけでなく,水泳の飛び込みや柔道,落馬による頚椎の外傷でもおこします.

 

中心性頚髄損傷のの症状

肘の内側を机や本棚の角にぶつけて手がしびれたことはありますか?あの痛みとシビレがずっと続くのが中心性頸髄損傷の症状です.脊髄損傷では足から運動神経が麻痺しますが,中心性脊髄損傷は手の感覚障害が主です.

中心性脊髄損傷の病態

中心性頚髄損傷 脊髄横断面右図は脊髄の横断面です.内側のグレーの部分(灰白質)に神経細胞があり,神経細胞から伸びた神経線維が外側の白い部分(白質)に分布しています.(脳は外側が灰白質で逆になっている) 左側の水色の部分が運動神経,右側の黄色の部分が知覚神経の主な通り道(路)です.

運動神経

運動をつかさどる運動神経は脊髄の外側を走る皮質脊髄路(錐体路)という部分を通っています.名前のとおり,大脳皮質の運動野というところから脊髄(末梢神経)に筋肉を動かす指令(電気信号)が伝わります.

知覚神経

知覚をつかさどる知覚神経は脊髄白質の内側を走る脊髄視床路という部分を通っています.運動神経とは逆に手足から伝わってきた,知覚信号を脳幹部の視床というところに伝える神経線維が走っています.

頚髄損傷

それぞれの神経路は中心に近づくほど上肢に分布する神経の線維が通っているため,頚椎の骨折や脱臼で外側から圧迫を受けると足のほうから運動神経が麻痺します(頸髄損傷)が,骨の損傷がなく,脊髄が強い力でゆすられると,脊髄の中心部から循環障害がおこります,中心部が衝撃によって障害を受ける中心性頚髄損傷では上肢に強く知覚障害を中心とした症状が出ます.

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