高山病

熱中症・高山病

熱中症,高山病,潜水病など,スポーツ環境による障害はスポーツ医学の啓蒙によって予防可能なスポーツ障害です.海外遠征による環境の変化や高地トレーニングによる過度なトレーニングの増加が背景にありますが,近年はトップアスリートだけでなく,ジュニア世代,中高年者も注意を払う必要があります.

熱中症

熱中症とは,暑い環境で体温が上昇し,発生する障害の総称で,スポーツ障害で特に問題となるのは熱射病と熱疲労です.他に脳血管の拡張による熱失神,発汗による塩分喪失で筋肉が痙攣する熱痙攣があります.

熱射病

体温の上昇によって脳(視床下部)の体温調節機能に異常をきたし,高度の意識障害(反応が鈍い,言動がおかしい,意識がない)がおこります.日本体育協会の長年の啓蒙活動にもかかわらず,毎年多くの犠牲者がでています.死亡率が高いので指導者の管理が重要です.

熱疲労

脱水による症状で,脱力感,めまい,吐き気,頭痛,倦怠感などがみられます.

高山病

最大酸素摂取量(赤血球)を増やし,持久力アップするために,高地トレーニングが,あらゆるスポーツ種目でとりいれられていますが,近年登山人口の増加,特に中高年者が増えており,高山病はアスリートだけの病気ではありません.

軽症高山病

標高1500mの高地では酸素は20%減少し,標高3000mでは30%減少します.短期間に高度を上げると,息切れのほか,頭痛,ふらつき,食欲不振,吐き気,嘔吐などが起こります.通常は標高3000mまでなら,2-3日間で順応できるといわれています.

重症高山病

3000m以上の高山では、酸素不足のために毛細血管から周辺組織に血液中の水分が漏出して、いろいろな組織の浮腫が起こります。高所浮腫では顔や手足のむくみが起こります.肺浮腫や脳浮腫では酸素吸入やステロイドの投与が必要になることもあります.
近年,中高年者の登山者が増えておりますが,日本でも富士登山はじめ,3000mクラスの登山では注意が必要です.