靭帯損傷

膝前十字靭帯損傷靭帯損傷とは、関節を安定させる役割を持つ靭帯が、外力や過度な動きによって引き伸ばされたり、断裂したりすることです。靭帯は血液の供給が少ないため、自然治癒力が弱く、損傷すると痛みや腫れ、関節の不安定感などの症状が長く続くことがあります。

靭帯損傷は、スポーツや事故などで起こることが多いですが、日常生活でも注意が必要です。予防するためには、以下のことを心がけましょう。

– 適度な運動やストレッチで関節や筋肉を柔軟に保つ
– 靴や器具などを正しく使用する
– 足場や路面の状況に注意する
– 疲労や負荷を感じたら無理をしない

靭帯損傷の症状

捻挫したときに関節から異常な音が聞こえたり,受傷直後から関節が腫れてくれば靭帯損傷を疑う必要があります.
靭帯には知覚神経があるわけではないので,周囲の組織が修復すると,痛みはなくなりますが,靭帯が切れていると運動時,抜ける感じや力が入らないなどの運動機能障害がずっと続きます.

靭帯損傷の原因と病態

靭帯と腱の大きな違いは,腱は筋肉の両端を骨につなぐ組織であるのに対し,靭帯は骨と骨をつないでいる,硬いひものような組織で,肉眼的にはのび縮みしません.
動くべきところには筋肉と腱があり,関節が動いてはいけない方向には靭帯があり,関節を制動したり,回旋運動の軸を作ったりしています.
関節が動いてはいけない方向に強い力が加わると,靭帯の線維は断裂します.部分断裂では伸びたように見えますが,線維自体はいろいろな場所で断裂し,全体として伸びたように見えるだけで,ゴムの様にすぐに縮むことはありません.

靭帯損傷の種類には、以下のようなものがあります。

– 第1度損傷: 靭帯がわずかに伸びるだけで、断裂はしない。痛みや腫れは軽度で、関節の安定性は保たれる。
– 第2度損傷: 靭帯の一部が断裂する。痛みや腫れは中程度で、関節に緩みが生じる。
– 第3度損傷: 靭帯が完全に断裂する。痛みや腫れは重度で、関節が不安定になる。

靭帯損傷の診断と治療

靭帯損傷の診断は受傷時の問診と関節不安定性の徒手検査である程度の重傷度が判断できます.レントゲン検査は骨折を除外診断するのに必須ですが,整形外科専門医以外で,骨は大丈夫,捻挫でしょうなどといわれ,初期治療の機会を逃している患者さんも数多く見受けられます.
患者さんも骨折がないと安心してしまうようですが,骨折よりも治療の難しい靭帯損傷の正確な診断は整形外科専門医を受診してMRI検査などを受ける必要があります.

靭帯損傷の治療法は、損傷の程度や部位によって異なります。一般的には、以下のような方法があります。

– 保存療法: 損傷した部位を固定したり、冷却したりして安静にする。消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬物療法も行う。リハビリテーションで関節の可動域や筋力を回復させる。
– 手術療法: 靭帯が完全に断裂したり、関節が不安定だったりする場合に行う。自分の他の部位から採取した組織や人工物を用いて靭帯を再建する。手術後はリハビリテーションで関節の機能を回復させる。

靭帯損傷を早く良くする方法としては、以下のことが挙げられます。

– 損傷直後から冷却することで血流を抑えて腫れや出血を防ぐ。
– 損傷した部位を高くして重力に逆らって血液やリンパ液を流す。
– 損傷した部位を圧迫することで出血や浮腫を抑える。

靭帯損傷は、放置すると関節の変形や機能障害を引き起こす可能性があります。症状がある場合は、早めに医師に相談しましょう。

膝前十字靭帯損傷に対する前十字靭帯再建術

靭帯損傷の治療は各論に譲りますが,靭帯組織の修復,再生,靭帯再建など靭帯に関する研究は,スポーツ整形外科の基礎研究では大きな分野となっており,多くの研究者,医師が靭帯再生,靭帯再建に取り組んでいます.
私の研究テーマであり,学位論文となった”再建前十字靭帯の組織学的,力学的検討”では,前十字靭帯再建術で作った前十字靭帯が,どんな構造をしているのか,どのぐらいの強度があり,どのぐらいの期間で正常の靭帯と同じになるのかについて検討しました.英文ですが,膝関節前十字靭帯再建術の基礎研究の論文中の写真を見てみてください.