衝撃波治療(ショックウェーブ療法)とは?
衝撃波治療は、患部に強力な音圧波(衝撃波)を照射することで、身体の自然治癒力を促進する非侵襲的な治療法です。整形外科やスポーツ医学などで幅広く使用されており、とくに慢性痛や腱の障害に有効とされています。
衝撃波治療は、厳密には「再生医療」に分類される場合もありますが、一般的には非侵襲的な物理療法とされます。この治療法は、体外から衝撃波を患部にあてることで、痛みを軽減したり、組織の修復を促進するものです。特に集束型体外衝撃波治療は、組織の再生を助ける働きがあるため、再生医療の一部とみなされることもあります.
このような現状で稲毛整形外科では自己再生能力を期待して衝撃波療法を取り入れ、疾患の根本治療を目指します。詳細は窓口にお問い合わせください。

特徴とメリット
衝撃波治療(ショックウェーブ療法)は、他の治療法と比べていくつかのユニークな特長があります。例えば:
- 非侵襲的なアプローチ: 手術や注射を伴わないため、身体への負担が少なく、通常は通院治療で行え、施術時間は一回5分程度。副作用もほとんど見られません。これが多くの患者さんにとって安心材料となっています。
- 痛みの軽減と組織修復の両立: 通常の痛み止めや理学療法が痛みの緩和に重点を置く一方で、衝撃波治療は新しい血管の生成を促進し、組織の再生をサポートします。根本的な治癒を目指す点が大きな違いです。
- 広範な適応症状: テニス肘や足底腱膜炎、アキレス腱炎などの慢性腱障害から、関節の可動域改善まで、幅広い疾患に効果が期待されるのもユニークです。
- 治療効果の速さ:1クールは週1回の通院を症状を見ながら3~5回程度で終了します。患者さんによっては数回のセッションで痛みの軽減を実感することがあるため、時間がかかる治療法よりも即効性がある場合があります。
ただし、治療法ごとに適したケースや患者さんが異なるため、詳細な診断の上で適切な治療法を選ぶのが大切です。
適応疾患の一例
症状・疾患名 | 備考 |
---|---|
足底腱膜炎(足底筋膜炎) | 代表的な適応。朝の一歩目が特に痛むケースなどに有効 |
石灰沈着性腱板炎 | 肩の痛みの原因となる石灰化の吸収を促進 |
テニス肘(上腕骨外側上顆炎) | 肘の外側の慢性的な痛み |
アキレス腱炎・腱障害 | スポーツによる慢性炎症 |
膝蓋腱炎(ジャンパー膝) | スポーツ選手に多く、膝の前面に痛みが集中する |
衝撃波治療の具体的な治療方法について
衝撃波治療(ショックウェーブ療法)の治療プロセスは、主に次のような流れで行われます:
- 診察・診断: まずは医師が患部を特定し、痛みや炎症の原因を確認します。超音波などの画像診断を使う場合もあります。
- 照射準備: 治療する部位の深さや角度を測定し、衝撃波の強度と照射ポイントを設定します。
- 治療セッション:
- 衝撃波を皮膚の上から照射します(1回あたり5~10分程度)。
- 照射時、軽い痛みや刺激を感じる場合もありますが、エネルギー強度は調整可能です。
- 頻度と継続性: 治療は通常週1回のペースで行われ、3~5回が推奨されることが多いです。
- リハビリ併用: 衝撃波治療の効果を最大化するため、リハビリやストレッチと組み合わせて行うことがあります。
この治療は、体にメスを入れることなく自然治癒を促進するため、回復が早いのが特徴です。
衝撃波治療の仕組み
- 高エネルギーの音波を体内の深部組織に届ける
- 微細な損傷を意図的に起こすことで、血流や代謝を活性化
- 痛みの原因となる石灰化や瘢痕組織を分解・吸収促進
- 新しい血管の生成や組織の再生をサポート
衝撃波治療の効果について
衝撃波治療は、ただ痛みを和らげるだけでなく、組織の修復や再生まで促す点が非常にユニークな治療法です。以下に詳しくまとめます
生理学的な効果
- 血流の促進 衝撃波により血管が一時的に拡張し、患部への血流が改善されます。これが栄養や酸素の供給を高め、治癒速度を加速させます。
- 細胞の活性化と成長因子の分泌 衝撃波が細胞に刺激を与えることで、VEGF(血管内皮成長因子)などの成長因子が分泌され、新しい血管の形成や組織再生が促進されます。
- 石灰化組織の破砕 肩関節などに見られる石灰沈着性腱板炎では、衝撃波が石灰沈着部に微細な振動を与え、破砕と再吸収を促します。
- 神経への作用による鎮痛 衝撃波は、痛みを伝える神経末端の機能を一時的に抑えることで、痛みの知覚を軽減します。
臨床的な効果
- 慢性腱障害への有効性 テニス肘や足底腱膜炎など、薬や安静で改善しづらい慢性的な腱障害に対し、再生を促す効果が期待されています。
- 可動域の改善 痛みが軽減されることで関節の動きが改善し、日常生活の質の向上につながります。
- 治癒までの期間短縮 通常の保存療法と比較して、治癒のスピードが早まるケースも報告されています。
- 外科手術の回避 特定の疾患では、手術前の選択肢として衝撃波治療を試すことで、手術を回避できた症例もあります。
成功率とエビデンス
- 足底腱膜炎:70~90%の改善率が複数のランダム化比較試験(RCT)で報告されています。痛みの軽減や機能改善が期待されています。
- 肩関節の石灰沈着:石灰の消失や痛みの軽減がレントゲンや患者報告で確認されており、有効な治療法として注目されています
- テニス肘(外側上顆炎):保存療法で改善しない慢性痛に対して有効で、痛みの軽減と機能の向上が確認されています
- 欧米を中心に多数のRCT(ランダム化比較試験)が存在し、効果を裏付ける医学的根拠が蓄積中
科学的エビデンス
- 作用メカニズム: 血管新生促進、神経終末の遮断による痛み伝達の抑制、石灰化組織の破壊など、多方面からの治癒プロセスが確認されています。
- 臨床研究: 複数のシステマティックレビューで、衝撃波治療の安全性と効果が支持されています。特に腱障害に対して高い成功率が報告されています。
「痛みを抑える」の一歩先をいく、「組織の自己修復を促す」治療として、整形外科の現場でも年々導入が進んでいます。治療の効果は個人差がありますが、エビデンスに基づくアプローチとして、整形外科治療の重要な選択肢とされています。