新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスは,国立感染症研究所の病原体等安全管理規定によりバイオハザードレベル3(人に感染すると重篤な疾患を起こすが、他の個体への伝播の可能性は低いもの)に分類されている.
ヒト-ヒト感染が容易に起こるように突然変異し,エボラ出血熱や天然痘と同じレベル4まではいかなくとも,バイオハザードレベルは3.5(規定には中間はないが)と警戒ラインに達している.
ウイルスは,細菌と同じものと思っている方も多いと思うが,そもそも,ウイルスは生物ではなく,単体では増殖することはない,ただのたんぱく質である.ただ,核酸(遺伝物質であるDNAまたはRNA)と転写酵素(RNAウイルスは逆転写酵素)を構造に持っており,ヒトやトリ,ブタ等の細胞内に入ることで,自己増殖することができる.
ウイルスの起源については,諸説紛々としているが,ウイルスが進化して生命が誕生したという生命起源説.細胞個々の役割分担を果たしている統合体としての生物から,勝手に活動を始めた分離独立説もある.後者であれば,ウイルスというものは,全く自己中心的な存在(よく言えば柔軟的,血液型ではB型)といえるが,これぞ種を維持するための生命の根源といえる.
バイオハザードというと,映画やゲームを思い浮かべてしまうが,今まさに,現実の世界で,パンデミック直前.用心するに越したことはない.今回は毒性の低いブタ由来の新型インフルエンザということだが,トリ新型インフルエンザによるバイオハザードが現実とならないことを願いたい.