化膿性椎間板炎・化膿性脊椎炎|腰痛+不明熱(FUO)

化膿性椎間板炎 ときどき高熱が出て,内科で抗生物質を処方してもらうと数日で軽快する.血液検査では炎症反応を認めるが,内科であらゆる検査をしたが,どこが炎症を起こしているのかはわからずじまい.このように原因が分からず,治療に難渋する症例を不明熱FUO(Fever of unknown origin) と呼んでいます.

熱発とはまったく関係なく,腰痛で整形外科を受診した患者さん.MR後に今までの経過を聞いてみると,半年前から2カ月おきに38度台の熱発を起こしていたそうです.

MRI画像(右図)からは第4第5腰椎の化膿性脊椎炎が疑われますが,おそらくその間にある椎間板が原発巣と考えられます.上下椎体に炎症(白くなっている部分)が広範囲に広がっているます.

FUOの原因として,腰痛や肩こりが関係していることもあります.

膝窩嚢腫(ベーカーのう腫)|膝の裏側が張って膝を深く曲げられない

膝窩嚢腫 膝の後ろにこぶし大の腫瘤.硬いしこりのようなものを触れる場合はほとんどが膝窩嚢腫(ベーカーのう腫)です.

膝窩嚢腫でMRIをとることはめったにありませんが,この方の場合は大腿裏までグニュッとした触感で,軟部腫瘍と鑑別のためにMRIを撮影.

右のMRI画像は膝の縦断面で右側の白い部分がすべて水で,大腿裏側まで広がる膝窩嚢腫でしたが,やわらかい腫瘤の場合は色素性絨毛性滑膜炎や腫瘍を考えなくてはいけません.

ランニング・スタイル 2010年6月号 Vol.24

ランニング・スタイル 2010年6月号 Vol.24

 昨春,毎月テーマを決めて腰痛から連載を始めた”ナン君におまかせ!ランナーのための痛み解消クリニック”.前々号の膝特集からいよいよ佳境に入り,今月のテーマは足関節.

 足くびの捻挫は多くのランナーの経験するところですが,足くび外側の捻挫だけでも前距腓靭帯損傷,脛腓靱帯損傷,腓骨遠位端骨折,後腓骨筋腱脱臼,第5中足骨骨折など,微妙に障害部位が異なります.実際の患者さんでは,これらの複数損傷部位の組み合せに,重症度が加わり,さらにライフスタイルも勘案し,固定方法,治療期間を考えています.

 簡単に1コラムでまとめてありますが,足関節捻挫だけで2回分は語れます.(発売日:2010.5/8)

ランナー膝の取材記事

 日本経済新聞・土曜日版「NIKKEIプラス1」にランニング障害の取材記事が掲載されました.

膝関節周辺のランニング障害は股関節や肩関節等と比べると筋肉が少なく,痛い場所がはっきりわかるので,ある程度自己診断もできると思いますが,スポーツ整形外科では,原因に対する対応策,障害部位に応じたストレッチ法の指導を行います.

指でここが痛い!と示すことができないような膝の奥の痛みは,靭帯や半月板,軟骨の障害であることが多いので,どこが痛いのかはっきりしないときはスポーツドクターのいる”整形外科”を受診してください.

腰椎椎間板ヘルニアと間欠性跛行|ゴルフができなくなる

以前からから軽い腰痛.数日前からお尻の周辺にシビレが出てきて,ゴルフ後半のラウンドで,足がしびれて歩けなくなり来院.1週間後にMRIを撮影した.

脱出ヘルニア 右のMRI画像左側は背骨を縦割りにして横から見た画像.縦に走っている脊髄が黄色線(L45)のところでは黒く抜けている.一つ上の緑線のところ(L34)の横断像が右上の写真,白い三角形のところが脊髄神経の通り道.黄色線の部位での横断面には殆ど白いところがなく,脱出したヘルニアで埋め尽くされている.

 こんなに圧迫されているのは稲毛整形外科ベストテン入りと本人に説明したが,本人はいたって元気.肛門周囲のシビレ以外は腰痛も殆どなくなり,あまり気にされる様子もなく,ニコニコして話を聞いている.

 ただ,このままだとゴルフのラウンドで必ず足がしびれて歩けなくなる(しゃがんで休めばまた歩ける)間欠性跛行という症状が取れないと説明したところ,大きな病院での精密検査を喜んで受け入れてくれました.