痛み止めが効かない腰痛|腰部脊柱管狭窄症

60代男性.ジョギングのあと徐々に腰から太ももにかけての痛みが出現.以前,内科でもらった痛み止めを飲んでもまったく効果なく,当院を受診.

どんな薬を飲んだのか聞いてみると腹痛の際処方された痛み止め.

 ご存知の方も多いと思いますが,ブスコパンに代表される鎮痙剤は胃や腸の痙攣による痛みにはすっきりと効くのですが,一般的な肩こりや腰痛には全く効果がないどころか,胃腸の運動が抑制されて便秘や腹にガスがたまるなどの副作用もあるので注意が必要です.

腰部脊柱管狭窄症 診断は以前から足裏の違和感を感じていたとのことで,腰部脊柱管狭窄症.MRIを撮影してみると下から3番目の椎間板で神経が圧迫されてひきおこした神経痛でした.

数年前までは筋肉痛も神経痛もロキソニンやボルタレンなどの鎮痛消炎剤(NSAIDS)しか選択肢がなかったのですが、最近は神経痛に対して作用機序の異なる薬が開発されており,第一選択薬のNSAIDSが効かない場合,処方しています.

神経痛に対して,胃の痛み止めが効かないのは当然ですが,普通の消炎鎮痛剤が効かない慢性の痛みに有効ですので,是非お近くの整形外科で,ご相談ください.

再生医療|iPS細胞

今月はノーベル医学・生理学賞受賞が決定した山中伸弥教授(京都大学)が開発したiPS細胞が話題となりました。

 万能細胞と呼ばれるiPS細胞ですが、心臓の筋肉にそのまま注射しただけで心筋になるわけではありません。近い将来、心筋になるように方向づけしてから(心筋遺伝子を発現させてから)注射すれば、心筋症や心筋梗塞で壊死に陥った心筋を回復させることができることができるかもしれません。

しかし、障壁はそれだけではありません。注射した細胞が細胞分裂した場合、どこで増殖がとまるのか、わかりません。細胞分裂が止まらず、増殖し続ける状態では癌と同じふるまいをすることも考慮しなくてはなりません。

核分裂を制御して原子力発電が可能になったように(いまだに完全には制御できていませんが)、細胞分裂や癌化を制御する技術が求められています。

遠い将来、人類が細胞の増殖因子と制御因子をコントロールすることができるようになれば、切り傷ややけどが1日で治せる時代が来るかもしれません。

稲毛海岸

20121021
海越しの富士山に沈む夕日。

稲毛海岸からのダイヤモンド富士です。

他のカットは夕日に集中しすぎて

海を入れるのを忘れてしまいました。

母趾種子骨障害|足の親指の付け根の痛み

足の親指の付け根の痛みといえば外反母趾と痛風が有名ですが,母趾の付け根の足裏側の痛みをおこす種子骨障害(分裂種子骨)も頻繁に目にします.

種子骨障害 足の親指の裏側には通常納豆の粒ほどの大きさの2つの種子骨があります.種子骨は親指を足底側に曲げる屈筋腱に付着して,歩行時の衝撃に耐え,腱が擦り切れるのを防止していますが,繰り返す牽引により,種子骨そのものが割れて,痛みを起こします.(分裂種子骨,右黄矢印部分が分離部)

鎮痛剤やテーピングで痛みは治まりますが,いったん分裂種子骨となると,痛みは再発しやすく,原因を特定し,痛みを出さないようにすることが大切です.

 しかし原因はさまざま.薄いソールのシューズを履いているために起こす陸上短距離選手が代表例で,剣道,ダンスなどでも種子骨障害が見られます.

ひと夏ビーチサンダルで過ごした青年もいれば,就活で慣れないヒールを履いて歩き回った女子学生も分裂種子骨でした.デスクワークで椅子に座るとき常に膝を引っ込めてつま先を立てているOLも,爪先立ちが原因と考えられ,日常生活のアドバイスも多岐にわたります.