膝裏の痛み2-膝窩筋腱損傷|稲毛整形外科

膝窩筋腱損傷について

膝窩筋腱損傷とは、膝関節の裏側にある膝窩筋という筋肉の腱が炎症を起こしたり、断裂したりする状態です。膝窩筋腱損傷とは、膝の裏側にある膝窩筋という筋肉の腱が炎症や断裂を起こす状態です。膝窩筋は、膝関節の屈曲と内旋を行う筋肉で、脛骨が外旋しすぎるのを防いで膝関節を安定させる役割があります。そのため、膝窩筋腱損傷は、膝関節の痛みや不安定感を引き起こすことがあります。

膝窩筋腱損傷の症状について

膝窩筋腱損傷の主な症状は、以下のようなものです。

  • 膝関節外側に鋭い局所的な痛みがある
  • 膝の痛みが荷重位やひねり動作で誘発される
  • 長時間座った後に立ち上がるときに痛みが強くなる
  • 膝窩筋の筋腹や腱に圧痛がある
  • 膝関節の可動域が制限される
  • 膝関節に不安定感がある

膝窩筋腱損傷の原因は、下り坂での走行荷重位での下肢のひねり動作など、膝関節に反復的なストレスがかかることです。また、長時間の座位や内反膝・反張膝などの姿勢異常もリスク要因となります。さらに、交通事故やスポーツなどで、膝関節に強い外力が加わることでも発生する可能性があります。

膝窩筋腱損傷の診断は、主に触診や抵抗運動検査で行われます。痛みや圧痛がある部位を特定し、膝窩筋の屈曲・内旋に対する抵抗で症状が誘発されるかどうかを確認します。また、画像診断ではMRIが有用で、靭帯や半月板などの合併症も評価できます。

膝窩筋腱損傷の治療は、保存的な方法が一般的です。まずは安静にして炎症を抑えることが重要です。そのために、冷却や圧迫・挙上などの処置を行います。また、消炎鎮痛剤やサポーターなども使用することがあります。直接的なアプローチとしては、膝窩筋腱のリリースや拘縮解消、筋力強化などを行います。膝周囲筋の筋力や関節可動域を回復させることが目的です。特に、膝窩筋やハムストリングスなどのストレッチや強化運動を行います。重症な場合や保存的治療に反応しない場合は、手術的治療を検討することもあります。手術的な治療法では、靭帯修復術や再建術を行います。いずれの場合もリハビリテーションが最も重要です。

膝裏の痛み1-膝窩筋について|稲毛整形外科

膝窩筋は、膝関節の屈曲と内旋に作用する筋肉で、膝関節の安定性や半月板の保護に重要な役割を果たしています。しかし、この筋肉はしばしば過度に緊張したり、炎症を起こしたりすることがあります。その結果、膝関節の屈曲・伸展制限や痛みを引き起こすことがあります。特に正座やしゃがむなどの動作で膝裏の痛みが増す場合は、注意が必要です。また、膝窩筋の機能不全により足関節背屈時に腓骨拳上を制限し、足関節背屈制限にもなりえます。

膝窩筋は、大腿骨の外側顆から起こり、その停止はヒラメ筋線より近位の脛骨後面です。膝窩筋は膝窩の底をなしており、腓腹筋頭および血管、神経に覆われています。膝窩筋の支配神経は脛骨神経(L5-S2)です。

膝窩筋の主な作用は、膝関節における屈曲と内旋です。立位で体重を支えている下肢においては、脛骨に対する大腿骨の外旋をもたらします。後者の場合は、体重を支えて伸展している膝関節を屈曲し始めるのが膝窩筋作用であり、これにより緊張した膝関節靱帯が緩められます(膝関節の固定解除)。また、膝窩筋の一部が外側半月に付着している関係上、膝窩筋の収縮は外側半月板を膝関節屈曲初期に後方へ引く役割も果たしています。

膝窩筋腱の機能は、膝窩筋の作用を伝達することです。具体的には、以下のような機能があります。

  • 膝関節を屈曲させることで、歩行や走行などの動作を可能にする。
  • 膝関節を内旋させることで、足首や股関節と連動して方向転換や回旋などの動作を可能にする。
  • 膝関節が伸展した状態から屈曲し始める際に、膝関節靱帯を緩めることで、関節の可動域を確保する。
  • 膝関節が屈曲した状態から伸展し始める際に、外側半月板を後方へ引くことで、半月板の損傷を防ぐ。

膝窩筋の役割を理解し、適切なストレッチやマッサージを行うことで、下肢の機能や健康を向上させることができます。

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