中心性脊髄損傷でドクターストップ 阪神の赤星 電撃引退

阪神の赤星憲広外野手

 プロ野球阪神の赤星憲広外野手(33)が現役引退.理由はこれまで新聞紙上で、頸椎(けいつい)のヘルニアの悪化と言われてきたが、検査を重ねるうちに「中心性脊髄損傷」と診断された.

 9月12日にけがをして症状のひどさは想像を絶するものがあった。1カ月して状態はだいぶ良くなって、復活できる気持ちもあったが、日本全国の病院に行って先生から「今のまま野球を続けることは危険だ」と言われ、現状を把握せざるをえない状況になった。- MSN産経ニュース

 頚椎椎間板ヘルニアやむちうち損傷による頚の痛みやしびれだけでは引退勧告されない.脳梗塞やくも膜下出血で脳がダメージを受けると回復しないのと同様,脊髄(頚髄)もいったん損傷されると回復が難しく,すでにMRIで相当のダメージが認められているのだと思います.

 中心性脊髄損傷で手術をすることはないが,脊髄の損傷,変性が著しい場合は,脊髄の入っている脊柱管という部位を広げる,脊柱管拡大術や除圧術を行うことになります.脊髄の圧迫を除去し,更なる損傷を防ぐものであり,脊髄を積極的に回復することはできません.また頚の可動域も悪くなるため,スポーツ選手に向いているとはいえません.

 ただし,圧迫されていた神経が開放されることで,中心性脊髄損傷によるしびれはある程度または完全回復する可能性もあります.手術に際しては,かなりシビアに術後の経過を説明しなくてはなりませんが,もしかしたら,来年早々に復帰ということもあるかもしれません.

関節軟骨損傷,離断性骨軟骨炎の治療|膝関節フォーラム

 土曜日に池袋で開催された膝関節フォーラム(第26回)に行ってきました.  

 膝関節フォーラムは当時の若い先生たち(だけ)で膝のことを議論しようと作られた研究会で,世話人は55才定年制となっており,今回は宗田 大 東京医科歯科大学整形外科教授が幹部引退との事.20年前の白熱した議論が思い出されます.

 大学で膝の研究をしていたころは毎年参加していた研究会.開業してからは,足が遠のいてしまいました.今回,代診の先生が,行っていいよといってくれたので,医院のことが気になりながらも,思い切って行ってきました.

 今回のテーマは離断性骨軟骨炎.整形外科の分野もバイオテクノロジーの恩恵にあずかり,骨髄幹細胞による軟骨移植などの話題も豊富で,10年前から培養軟骨移植は行われていますが,一般的ではないという意味で,実用まであと少しという印象でした.

 再生した軟骨は線維軟骨といって,本来の硝子軟骨とは異なるものであり,それでいいのかわるいのか,といった哲学的な議論もありました.(歯の再生なんかしないで,入れ歯じゃだめなの?という議論と同じです.)

 昨今の経済情勢では,人工関節じゃだめなの?と一刀両断に切られそうな話題,損傷,欠損した軟骨を本来の硝子軟骨に戻すことが,全ての人に受け入れられる研究者の夢です.保険診療で軟骨移植ができるようになれば,加速度的に進歩すると思うのですが…