救急車有料化

 診療終了後,救急隊の問い合わせ.優秀な救急隊員も軽症と重症の区別はついているので,当院に手に負えない入院や手術が必要な患者さんを送ってくることはありません.

 20分ほどして救急車が到着.幸い軽症でしたが,帰りかけていたレントゲン技師と,帰りそびれた理学療法士を待機させ,(お疲れ様でした(^_^))30分ほどで処置も終了.医療事務の仕事は患者さんの最初の受付と終わりの会計ですから当然のように1時間弱残ってくれました.(いつも感謝あるのみですm(__)m)

 市民の安心を担う,救急隊の皆様も日々ご苦労様です.

 ふと考えたのが,救急車一出動あたり4万5千円の経費がかかっている救急車の有料化についてです.

 救急車の有料化は以前から議論のあるところで,タクシー代わりに頻繁に救急車を使う分別のない患者さんと本当に必要な重症の患者さんの線引きを明確にすることが必要です.

 国家財政の危機の中,救急車有料化は避けられないところ.まず交通事故,自傷行為など第三者行為から有料化してみてはと思いつきました.損保会社の保険料が上がるかもしれませんが,全加入者で負担すれば微々たるものかと考えます.

 また,保険診療においても救急隊(消防署)に救急搬送料なる代価を認めてもいいのではないか,健康保険から7割が支給されるので,患者負担は3割.健康保険から消防署に救急搬送料を払っても所詮,公的財政の中でのやりとりになるので,請求事務の手間は増えますが,患者負担の3割が国家財政に還元されるのでは・・・

 本当のところ,どこまで議論が進んでいるのか,職員を帰したあと,このあと患者さんの家族が迎えに来るまで残らなくてはならないので,調べてみようかと思います.

PS 一年間に五十回近く救急車を呼んだ中で、身勝手な要求を拒否され隊員に暴行を加えるなど犯行は極めて悪質。七月初旬、高松地裁。公務執行妨害や傷害などの罪に問われた男に懲役三年六月が言い渡された。

http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/306/index.htm より

 喘息患者では1年で50回以上,救急車の助けを借りなくてはならない方もいらっしゃいますので,何回までがいいとか悪いとかはいえません.公的サービスである救急車を有料化するのであれば図書館の無料貸し出しも有料化すべきという議論もあり得ます.

 保険点数化して,たとえば当日の診療費が1万円以上の場合,医師が必要と認めた場合などに保険適応.もちろん医療機関が代行して徴収した救急搬送料は国庫に返納(国保社保などの診療報酬支払いから天引き)します.

 

 療養規則を明確にして重症患者には自己負担免除などの措置を講じながら,軽症患者の救急利用を抑制し,本当に必要な方のために救急車を割り当てることも必要になってきたのでは・・・

現在の医師数 診療科別

診療科 S61(1986) H8(1996) H18(2006)
医師数 100 126 144
病院 58 77 88
診療所 38 43 49
89 109 119
11 17 26
女医割合 11% 13% 18%
医療施設の従事者 100 126 143
従事する診療科 0 0 0
  0 0 0
内科 44.3 52.0 55.0
心療内科   0.8 2.3
呼吸器科 4.8 5.8 7.0
消化器科(胃腸科) 11.0 15.4 17.7
循環器科 6.9 9.9 12.6
アレルギー科   1.1 3.4
リウマチ科   1.5 3.0
小児科 18.9 19.0 16.9
精神科 4.3 6.1 8.1
神経科 3.4 3.8 3.4
神経内科 1.5 2.6 3.3
  0.0 0.0 0.0
外科 18.2 19.2 18.5
整形外科 9.5 12.5 14.0
形成外科 0.6 1.1 1.9
美容外科 0.1 0.2 0.5
脳神経外科 2.5 3.4 4.0
呼吸器外科 0.5 0.7 1.0
心臓血管外科 0.8 1.3 1.7
小児外科 0.6 0.6 0.8
産婦人科 6.5 6.3 5.9
産科 0.7 0.4 0.3
婦人科 1.3 1.3 1.4
眼科 4.6 6.2 7.4
耳鼻いんこう科 4.4 5.1 5.4
気管食道科 0.9 0.9 0.9
皮膚科 6.9 7.8 8.3
泌尿器科 4.0 4.5 5.0
性病科 0.8 0.4 0.4
こう門科 2.0 2.5 2.7
  0.0 0.0 0.0
リハビリテーション科 3.9 6.5 10.2
(理学診療科) 0.0 0.0 0.0
放射線科 6.4 6.2 5.5
麻酔科 2.7 4.1 5.2
全科 0.7 0.3 0.8
  0.0 0.0 0.0
その他 1.0 2.3 3.1
不詳 0.1 0.1 0.7

最近の年間医師増減 新規8(医師国家試験合格者数7700人) 減少2(4200人)

1986年医師総数191346人を100とする.2006年は過去4年間より推計

出典:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/02/toukei.html

医師不足2

 20年前の医師数を100人として,10年前は126人.現在143人.

この10年で増えた17人分はどうなっているのでしょうか?

 

 医師不足の原因の一つは新臨床研修医制度 =医局崩壊?,もう一つは女性医師の増加です.

 

 昔の女性医師は100人中11人 現在は143人中26人に ふえました.

この10年では3人に一人が女性医師.

一方,高齢化して統計から外れていく医師(1.8人)の9割は男性なので,男性医師が9人増加,

女性医師も9人とほぼ同数で,全体に占める女医さんの割合は18%まで上昇.

 しかし,女性医師の50%弱は10年以内に離職し,再就職率は50%弱であることから

この10年で増えた11人のうち5人の女性医師が離職.

 

 研修医制度のため2年は当直も一人でできない半人前扱いのため,

毎年4人相当が増えていくはずの医師数は,2年分がプールされ8人減.

 それに輪をかけて研修先の自由選択,半数は医局に残らず,都会の病院を選択します.

 一昔の医局は,10年で増えた26人の内,女医が4人,離職半分として純増22人.

9割方は大学の医局に残るため,20人の入局者を迎えていたことになります.

 

 90年代に20人増えた医局員増が6人になれば,徐々に関連病院を離れ,

開業や就職で減っていく医局に若手の派遣医師がいなくなるのは,明らかです.

 

 現実に戻って2000倍すると不足人数は2800人.あながち,いい加減な計算でもなく,

少なくとも半分の1400人ぐらいは足りなくなってしまった気がします.

もしかするとそのまま2800人以上ということもあり得る話です.

 毎年の医師合格者数は7700人,純増は3500人程度なので時間が解決するかもしれません.

 

 今,研修中の6人の研修医の行く末もしっかりと考える必要があります.

2年の研修が終わるとそのまま就職できるのは1人か2人とすると,

最大8000人の研修先をあぶれた若手医師が,先輩の指導を受けるでもなく,

この先10年以内に市中にあふれ出すことになります.

 

 研修医制度?はまだまだ問題が出尽くしていませんが,

2年分,あと戻りした医師数の回復と女性医師の活用ができても,

医師数が増えるだけで,人気のない病院にまた,選択の自由を味わった若手医師が戻ってくるとは限りません.

PS 毎年の医師合格者数は7700人,純増は3500人程度です.

医師不足

 昨日,わが千葉県で公立病院の閉鎖が大きく取り上げられていました.

なぜ医師不足なのか…理由は明らかですが,どのくらい足りないのか計算してみました.

 

 1986年から1996年,1997年から2008年と一昔と今を10年単位で区切って,

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/02/toukei.html

などのデータを元に概算.2006年はまだ数字が入っていませんが,

医師免許取得者数が最近は一定なので,エクセルのオートフィル機能で一発推定.

 20年前の医師数を100人として計算してみました.

(実際はS63年で18.3万人なので実数は約2000をかけた数字になります)

 

 20年前医師は100人いました.うち開業医は30人.

一県一医大などの政策が実り,10年で126人に増えました.

バブルがはじけ,医療費削減が国策となる1996年,国立大学医学部の定員が削減され,

この10年間の増員は17人に抑えられました.それでも2006年では143人に増えています.

 

 ではなぜ医師が足りないのでしょう?

 

 みんな開業したかというとそうでもありません.

20年前30人だった開業医は36人に増えましたが,1.4倍には増えていません.

増えた37人の医者はどこに行ってしまったのでしょうか?

 

 10年前に増えた26人は10年の臨床経験をつみ,新旧入れ替わる形で開業医は6人増えました.

残る20人は指導者として,現在は病院の中核を担う存在です.過酷な勤務をものともせず,

患者さんやパラメディカルに信頼され,生きがいを持って日々診療に明け暮れています.

 最近増えた若手の17人はどうしているのでしょうか?・・・(続く)

七夕に思うこと その2

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 地球は今45億歳.

 人類が誕生して300万年,アダムとイブの誕生は紀元前3760年.

氷河期以降1万年をかけて堆積した化石燃料を

この百年で使いはたそうとしています.

 原油の在庫はあと50年,

エネルギー保存の法則上,太陽からエネルギー供給を受け続ける限り,

燃やすものがなくなることはありえませんが,

食べられるものまで燃やし始めた現代において,

100年後の未来の姿を想像することは困難です.

 洞爺湖サミットでは地球温暖化防止に向けて,

CO2削減の認識で一致しましたが,100年後,酸素濃度の減少

が主要議題になっていないことを…