サッカーワールドカップもベスト4が出揃い、開催国で優勝候補のブラジルも順当に勝ち進んできました。そのブラジル代表のエース、ネイマール選手が4日行われたコロンビアとの準々決勝で相手ディフェンダーのスニガ選手の背後からの膝蹴りを受けて腰椎を骨折。
背中から落ちて腰の痛みが続く場合は腰椎横突起骨折をまず疑いますが、胸でトラップして背中をそらせた時に背後から膝蹴りされ,腰椎に過屈曲方向の力がかかっていれば腰椎椎体骨折(チャンス骨折)を起こしていた可能性も十分ありました。当初、ネイマールが腰椎骨折で全治1カ月との情報だけでしたが、腰椎椎体骨折では全治2カ月は必須なので、腰の怪我で全治1カ月なら軽傷の部類に入ります。
内田篤人も2008年に飛び蹴りされて第3腰椎右横突起を骨折しており、サッカーに限らず、コンタクトスポーツでは比較的多く見られる骨折ですが、動作時の腰痛だけですむことも多く、受診するまで骨折していると思わず、プレーしている患者さんがほとんどです。
腰椎横突起はその名の通り、太い腰の骨の横にちょこっとついている鉛筆の太さぐらいの長さ2cmぐらいの突起状の骨で、肋骨が退化したものと言われています。腰のインナーマッスルがこの部位に付着していますが、交通事故などの高エネルギー外傷でなければ、大きくずれることはなく、受傷直後は出血と腫れによる痛みが続きますが、痛みのない範囲で日常生活は許可し、通常は4週間前後からスポーツを許可します。
ネイマールのケースでも痛みのコントロールができれば比較的早期に復帰可能なのではと思います。