幹細胞治療の問題点

幹細胞治療で変形性膝関節症などで軟骨を修復するのに効果的とされるが軟骨細胞を関節内投与しただけで軟骨ができるのかは疑問です。

幹細胞治療が軟骨修復に使われる場合、注射だけで軟骨が完全に再生するわけではなく、多くの研究では以下のようなプロセスが必要とされています:

  1. 環境の整備: 幹細胞が軟骨細胞に分化するためには適切な「微小環境」が必要です。注入後、幹細胞が損傷部位に留まり、分化を促す成長因子やサイトカインの影響を受けることが重要です。
  2. リハビリテーション: 関節内に適度なメカニカルストレス(例えば、運動やリハビリを通じた負荷)を与えることで、軟骨再生を促進する効果が期待されます。このため、治療後の適切なリハビリは非常に大切です。
  3. 治療の複数回実施: 1回の治療だけで十分な結果を得ることは稀であり、幹細胞の注入を複数回繰り返すことで、効果が徐々に蓄積されるとされています。

研究によれば、幹細胞治療は軟骨の完全な再生を目指すというより、関節の炎症を抑えたり、軟骨の進行的な損傷を防ぐために有用であるとされています。ただし、完全な再生を期待する場合、まだ実験段階にある技術が多いため、長期的な研究が必要です。

このようなプロセスが必要になるため、軟骨修復の効果に対する慎重な評価と、医師との密な相談が重要です。治療費も数十万から百万円単位なので費用対効果を見極める必要があります。

幹細胞治療の費用は、治療法や使用する幹細胞の種類によって異なります。一例として以下の内容があります:

  • 自己脂肪由来幹細胞治療:
    • 片膝への投与: 約94万8,000円(税込)。
    • 両膝同時施行: 約140万8,000円(税込)。
  • 治療法により変わる範囲:
    • 簡易的な幹細胞利用治療: 約数十万円。
    • 高度な培養・増殖を伴う治療: 数百万円から1,000万円以上に及ぶ場合も。
  • 保険適用の有無: 一部の特殊な血液疾患などに対して保険適用の治療が存在しますが、整形外科領域の幹細胞治療は多くの場合自由診療となり、全額自己負担になります。

治療費用はクリニックや地域によっても大きく異なるため、複数の医療機関で相談するのが賢明です。