体外衝撃波治療は、とくに運動器疾患の中でも慢性化しやすい腱障害や石灰沈着、炎症性病変に強みを持っています。以下に代表的な疾患とそのポイントを整理しました
よく適応される疾患一覧
疾患名 | 特徴・治療ポイント |
---|---|
足底腱膜炎(足底筋膜炎) | 朝一番の痛みが強いケースなどに有効。治癒率も高め |
石灰沈着性腱板炎(肩) | 衝撃波による石灰の破砕 → 吸収促進。レントゲンでの改善例多数 |
上腕骨外側上顆炎(テニス肘) | 肘の外側の慢性的な痛みに。保存療法で効果不十分なケースに適応 |
膝蓋腱炎(ジャンパー膝) | スポーツ選手に多く、膝の前面に痛み。ジャンプ動作などで悪化 |
アキレス腱炎・腱障害 | 長期的な使い過ぎや加齢による腱変性に。運動再開の支援にも |
大転子部痛症候群(股関節外側) | 中高年に多い股関節外側の慢性痛。広範囲に広がる痛みへの局所治療に有効 |
脛骨結節炎(オスグッド病) | 成長期の膝下痛。早期スポーツ復帰を目指す際などに |
シャルコー関節の早期病変 | 糖尿病性ニューロパチーなどによる神経障害性関節炎への探索的適応 |
適応判断のポイント
整形外科的な適応は非常に広く、医師の診断と画像所見による適応判断が重要になります。
Q 膝半月板損傷に効果ありますか?
半月板損傷による痛みに対して、体外衝撃波治療(ESWT)は効果が期待される治療法の一つです。以下のような効果が報告されています:
- 痛みの緩和: 衝撃波が自由神経終末を刺激し、その結果として疼痛が減少することが示されています。
- 組織修復の促進: 成長因子が放出され、血流が改善されるため、軟部組織や半月板周辺の治癒を助けます。
- 炎症の抑制: 慢性的な炎症反応が和らげられるため、痛みが軽減します。
特に手術が困難な半月板損傷や、術後も痛みが残る場合に適応されるケースが多いです。治療頻度は通常1~2週間おきに数回行われ、効果は個々の症例に依存します。ただし、重度の損傷や完全断裂の場合には、ESWT単独では限界がある可能性もあります。
Q シンスプリントや骨膜炎に衝撃波は効果ある?
体外衝撃波治療(ESWT)はシンスプリントや骨膜炎に対して有効な選択肢として注目されています。
シンスプリントへの効果:
- 痛みの軽減: 衝撃波が自由神経終末を刺激することで痛みの伝達が弱まり、症状の緩和が期待されます。
- 組織修復の促進: 衝撃波の作用により、血管新生とコラーゲン産生が促進され、骨膜や筋膜の修復が進みます。
- 炎症抑制: 炎症を引き起こすサイトカインを減少させ、組織内の腫れや痛みが軽減されます。
骨膜炎への効果:
- 骨膜炎に伴う腫れや慢性的な痛みに対して、衝撃波治療が炎症抑制と痛み軽減に役立つことが報告されています。
- 特に難治性のケースで効果を発揮することが多いですが、症状の進行度によって結果が異なる場合があります。
Q 衝撃波は腰椎分離症に効きますか
はい、体外衝撃波治療(ESWT)は腰椎分離症の治療に効果を発揮することがあるとされています。腰椎分離症は疲労骨折によって生じる状態であり、特に若いスポーツ選手に多く見られます。
衝撃波治療は次のような効果が期待されます:
- 骨癒合の促進: 衝撃波が分離部位に刺激を与え、骨の再生を促進します。
- 痛みの軽減: 衝撃波が組織の血流を改善し、炎症や慢性的な痛みを抑える効果があるとされています。
- 安全性: 衝撃波治療は非侵襲的であり、神経や周辺組織への影響が少なく、安全性が高いと報告されています。¥
特に初期段階での使用が効果的とされ、骨癒合率が上昇し治癒期間が短縮される可能性があります。進行期や終末期では効果が限定的な場合もありますが、痛みの緩和や運動の再開を目指して施行されることがあるようです。
Q 衝撃波はどのぐらい痛いですか?
体外衝撃波治療(ESWT)の痛みの感じ方は、個人の感受性や治療時の出力レベルによって異なります。
一般的に感じる痛み:
- 多くの患者さんが「軽いチクチクした感覚」や「軽度の不快感」を感じます。
- 出力を高めるほど痛みが強くなる可能性があり、治療中に痛みが我慢できない場合は、医療スタッフがすぐに調整を行います。
治療後の痛み:
- 治療直後や翌日に軽度の痛みや腫れが出ることがありますが、一時的なものであり通常数日で収まります。
- 症状によって異なるものの、効果が出やすい人にとっては、術後の痛みが少ない傾向があります。
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