外反母趾
足の親指(母趾)のつけ根の関節がくの字に外側に曲がり(外反),ハイヒールがはけなくなり,ひどくなると普通の靴でも傷みが取れなくなります.遺伝的要素も多く,家族に外反母趾の方がいらっしゃる患者さんも多く見られます.
外反母趾の原因と病態
外反母趾は母趾のつけ根の関節がくの字に外側に曲がることより母趾痛をきたす疾患です.つま先に余裕のない靴や踵部や足の甲部のホールドの悪い靴(甲が開いたパンプス)を履いて爪先が圧迫され続けると,母趾が小趾側に曲げられた状態で関節の靭帯が伸ばされて変形していきます。放置すると足の横アーチが崩れ,開張足(甲広の足)となり,小指も内側に曲がってきます(内反小趾).重症例では関節脱臼を認めます.
外反母趾は足の痛みだけでなく,腰痛を起こす原因ともなります.足の母趾球が機能しなくなると,母趾球で蹴って前に進むことが困難となる(歩容の悪化)ばかりか,足の重心が後方に移動する(足が小さいと不安定になる)ため,骨盤が後傾し,腰痛をきたします.
外反母趾の診断と治療
診断は簡単ですが,治療には難渋することがままあります.
足の形にあった靴の指導,作成に加え,足横アーチを支えるアーチサポート,足底板などの補助装具を考慮します.一度変形すると,戻ることは難しく,予防と痛みの治療が主となります.母趾のつけ根の関節が30°以上外側に曲がり,開張足(甲広)で中足骨が15°以上内側に開いていると手術も考慮します.