外傷性膝蓋骨脱臼

外傷性膝蓋骨脱臼

外傷性膝蓋骨脱臼

 外傷性膝蓋骨脱臼はその名のとおり,1回の衝撃で膝蓋骨が脱臼したものをさします.膝を伸ばすと自然に戻る場合も多いものの,膝の関節に血がたまる関節血症の原因の2割を占めます.膝蓋骨や大腿骨の軟骨損傷を伴うことも多く,適切な治療が必要です.

外傷性膝蓋骨脱臼の症状

 ラグビーなどのコンタクトスポーツにおける膝への直接のタックルやサッカーのスライディングなどで足をすくわれて膝から地面に落ちた等,側方から膝蓋骨に強い外力が加わると膝蓋骨が脱臼することがあります.
 外傷性膝蓋骨脱臼は,反復性膝蓋骨脱臼と異なり,激しいコンタクトをする男性に多く認められ,脱臼直後は激痛と膝の変形で動くことができなくなります.数分で膝関節に血液がたまり,腫れてきますが,このとき膝蓋骨も持ち上がり,膝を伸展位に保っていると自然整復されることが多いのですが,痛みのため膝蓋骨が脱臼したまま救急車で搬送されるケースも少なくありません.(右図)

外傷性膝蓋骨脱臼の原因と病態

 外傷性膝蓋骨脱臼は側方からの強い外力で生じますが,脱臼してすぐに自然に元の位置に戻った場合や,膝蓋骨の変形に気づかず整復された場合は本人もわからないことがあります.
 通常,膝蓋骨の関節面は大腿骨の膝蓋溝にぴったりとはまり,膝蓋大腿関節を形成していますが,生まれつき大腿骨の膝蓋溝の浅い形や膝蓋骨の関節面がのっぺりとしている場合は再発傾向があり,注意が必要です.

外傷性膝蓋骨脱臼の診断と治療

 外傷性膝蓋骨脱臼は本人が脱臼したことに気づいていない場合も多く,膝関節に血がたまって関節血症を起こしていたら,前十字靭帯損傷とともにこの病気を疑う必要があります.前十字靭帯損傷との鑑別は理学所見や,MRI検査で容易に判断することができます.
 脱臼時に骨折や軟骨損傷を併発していることも多く,レントゲンによる精査は必須で,脱臼整復の際も粗暴な操作をすると膝蓋骨の軟骨損傷を起こすので,鎮痛処置を行ってから愛護的に整復します.
 外傷性膝蓋骨脱臼の治療は通常の急性外傷の治療と同様RICEを行います.膝関節血症が高度で膝を曲げられない場合は注射器で関節内に溜まった血液を廃液すると楽になりますが,数日間は再度出血して腫れてくるので圧迫,安静をとります.
 外傷性膝蓋骨脱臼で手術をすることはほとんどありませんが,剥離骨折や軟骨片を認めるときは固定術や摘出術が必要になることもあります.